第二十話 地球まるごと超決戦(2)
「繰気弾!」
ヤムチャが掌に気を集中し、己の意志で自在に操作出来る気弾を生み出す。
見た目こそ何も変わらないが、修行により確実に威力が増しているそれを敵のサイボーグ戦士――カカオ目掛けて発射する。
右、左、上と目まぐるしく移動し、繰気弾はカカオを翻弄する。
防御するならば背後に回り、避けるならばその移動先へ先回りする。
自動追尾には出来ない細かいコントロール。それが繰気弾には可能だ。
「はっ、とう!」
やがてカカオの隙を見付けたヤムチャは、がら空きになった彼の腹部に繰気弾を叩き込んだ。
防御も許さないクリーンヒットにたまらずカカオが吹き飛び、地面に転がる。
すかさず追撃で気弾を叩き込み、爆発させた。
手応えあり! 勝利の予感にヤムチャは頬を緩め、爆煙を見る。
「ンダ!」
「!?」
だが煙を裂いてカカオが飛翔してきた事でその顔は驚愕へと変わった。
繰気弾を命中させ、倒したと思った直後の隙だらけの硬直。そこにカカオが身体ごとぶつかり、ヤムチャを岩場に押し付ける。
サイボーグの身体と岩場との間に挟まれるサンドイッチだ。
ヤムチャはその威力に吐血し、白目を剥いて崩れ落ちた。
「気円斬!」
ヤムチャ達から少し離れた戦場。
そこでクリリンは気を集約し、円盤状に薄めていた。
それを高速回転させる事で敵を切り裂く切断技、気円斬。殺傷力という点において彼の最高の技だ。
発射される気円斬。それに触れれば多少の戦闘力の差があれど容易く切り裂く事が出来るだろう。
それに対し赤い巨漢――アモンドは身体を高速で回転させた。
「勝ちたかったら、こうするんでっせい!」
そして、回転したまま気円斬と恐らくは同系統だろう緋色の薄い気弾を放つ。
その二つは中央で衝突し、相殺。
互いに弾かれ、それぞれの術者の元へと跳ね返って行った。
「んなっ!?」
クリリンは咄嗟に反射されてきた気円斬を避け、アモンドも同じく己の気弾を避ける。
技自体は互角。むしろ術者の気が劣っているのに相殺したという点ではクリリンの気円斬が勝るかもしれない。
だが気円斬が通じないというのはクリリンにとって致命的だった。
何故なら、これが効かないという事はクリリンが彼に勝てる技がないという事になってしまうのだから。
「そら、次でっせい!」
妙な語尾を付けながらアモンドが突撃する。
クリリンもそれに対し必死に応戦し、激しい攻防が始まった。
だが地の能力ならばアモンドが上だ。
彼の拳がクリリンの頬を打ち、膝が腹を蹴り上げ、クリリンが呻いた所を狙い澄ましてダブルスレッジハンマーを頭部に叩き付ける。
衝撃に意識が飛び、止めとばかりに固い地面に墜落する。
そしてクリリンが立ち上がらないのを確認し、アモンドは勝利を確信した。
天津飯はレズンとラカセイの双子を相手に一人で奮戦していた。
先程までは餃子もいたのだが、既にやられてしまったらしく気が殆ど感じられない。
双子故の一糸乱れぬ連携に晒され、必死に防いでいるのは流石というべきだろう。
だが限界はある。拳が、蹴りが、天津飯を確実に捉え始め、攻撃を受けるたびに動きが鈍くなっていくのが自分でも分った。
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