ハーメルン
至高のレビュアーズ
異世界レビュアーズ

「だはははははははっ!じゃあ何か、お前ら!?サキュバス街巡りの資金を得るために、密猟なんてしてたのか!?」

「……はい、すみません」

 俯いて頷くモモンガと弐式炎雷の答えに、食酒亭に集ったスタンクとゼルの笑い声が響く。特に盛大に笑っているのはスタンクだ。

「ふひっ!お前らみたいな化け物が!?俺らのレビューを見て、サキュバス街に通い詰めてた?だははは!いかん!苦しい!!」

 仰け反り過ぎて、座っている椅子がひっくり返りそうだ。レビューで読んだイメージ通りの人間だが、ここまで笑われると椅子をひっくり返してやろうかという気持ちがモモンガに沸いてくる。

「あのー、それで……、密猟ってどれくらいの罪の重さになるんでしょうか?」

 揉み手をして問いかける弐式炎雷の今の姿は、ナーベラルには決して見せられないなとモモンガは思う。だがその弐式炎雷の質問の答えはモモンガも知りたかった。この世界にはしっかりとした警察機関がある。それのお世話にはなりたくない。

「実際どうなんだ、ゼル?」

 スタンクがゼルに問いかける。ゼルは広げた羊皮紙を眺めながら、筆で自分のこめかみを数度叩く。羊皮紙には先ほどまで聞かれていた内容が、モモンガ達のこの世界の主な資金源だ、書かれていた。調書の様なものだろう。

「お前たちの話を聞いた限り、ぶっちゃけ問題無いな。換金してた素材だって見境なく襲い掛かってくる怪物の奴だし、採取してた素材も量からして十分許容範囲だ。森にダメージを与えるものじゃない」

「だそうだ」

 二人の言葉に、モモンガと弐式炎雷はほっと胸を撫でおろす。お咎めなしになりそうな雰囲気に安堵しつつも、一体誰がスタンク達に密猟者の捕縛、すなわち自分達だ、の依頼をだしたのだろうか。

「あれー?あんたたちいつの間に仲良くなったの?」

 木のジョッキと料理を両手に持ってやってきた給仕係が、スタンク達とモモンガ達を見比べて問いかけてくる。

「こんにちは、メイドリーさん」

「こんにちは、メイドリーさん。ごめん、俺とモモンガさんの注文がまだだったね。適当にお願いします」

「はい、こんにちは、モモンガさんに弐式さん。ふふ、二人は食べたり飲んだり出来ないんでしょ?おかみさんも気にしないって言ってるから、無理に注文しないで大丈夫ですよ」

 何度か通っているうちに顔見知りになった給仕係のメイドリーにモモンガと弐式炎雷は挨拶をする。二人が飲食出来ない事は彼女も承知のため、マナーとして注文をしようとした弐式炎雷の言葉に笑って首を振る。テーブル料代わりに毎回注文をし、飲食可能な仲間達に食べて貰っていたのだが、今回は必要なさそうだ。

「メイドリーはモモンガ達を知ってるのか?」

 スタンクの質問に、テーブルに料理と木のジョッキを並べ終えたメイドリーが頷く。

「あたりまえでしょう、常連のお客さんだもん。……そういえばモモンガさん達が来てくれてる時に、あんたたちはいつも居なかったかな?でも、よくあんた達のレビューは買ってくれてるわよ?代金はクリム君から貰ってるでしょう?」

「……あれモモンガ達だったのか……。おーい、クリムー!お前も交ざれよ!」

 スタンクが大声でクリムを呼ぶ。

「ちょっと、クリムくんも仕事中なんだから……」

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