第8話 初めての友達
2人が帰る途中で見かけた公園のベンチで座っていると鈴音が口を開いた。
「ア、アノ……小宙サンハ、親ガイナイッテ言ッテマシタケド……」
「ん?あぁ、俺は小さい頃に孤児院の前に捨てられていたんだ……
名前と一言【この子を頼みます】って……」
「ソウダッタンデスカ……小宙サンハ……「武昭」エ?……」
「小宙って呼びづらいだろうから武昭で良いよ友達は皆名前で呼ぶから」
「友達ッテ……私ガデスカ……ケド……私ハ……」ポロッ
「転校生だとか、中国人だとか関係ないよ……俺は凰さんと友達になりたいと思ったから……」
「本当ニ……私ト友達ニナッテクレマスカ?……」
鈴音は泣きながら武昭に尋ねた。
「あぁ……俺が凰さんの日本での初めての友達だよ……」
武昭が優しく抱き締めると鈴音が泣いたので武昭は、そのまま胸の中で泣かせた。
暫くして……
「アノ……ソノ……ゴメンナサイ……」
泣き止んだ鈴音は顔を赤くして照れていた。
「気にしなくて良いよ……泣きたい時に泣くのは当然の事なんだからさ……」
「ア、アリガトウゴザイマス……アノ……ソレデ……サッキノ話ナンデスケド……」
「あぁ、孤児院の前に捨てられていた話か……俺は親を恨んじゃいないし、会いたいとも思わないかな……」
「ナンデ……デスカ?……」
「うん……手紙は濡れてたんだ……多分だけど涙の跡だと思う……」
武昭の話を聞いた鈴音は黙っていた。
「だから俺は思ったんだ……親は俺を危ない目に合わせない為に離れたんだって……
それで俺が会う事で何か迷惑になるなら俺は会わないって……」
「武昭……」
「さてと、これ以上居たら遅くなるから帰るか鈴」
「エ?今……私ノコトヲ鈴ッテ……」
「あぁ、友達だからアダ名を考えてたらパッと浮かんだんだけど……嫌だったら何か違うのにするけど……」
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