14話 ハプニングゲーム大会
天然ボケをかます友奈と、このタイプのゲームはやったことがない若葉。不安要素がデカすぎる二人だけど、若葉がすぐ慣れるし、慣れたら半端なく上手い。だから、それまでの間に試合が決まらないようにしたら希望はある。友奈はどうしようもない。レースゲームで体も動かすタイプだから。
それに対して敵チームといえば、どんなゲームでも尋常じゃない結果を出すちーちゃん。インドア派で、実はゲームもそこそこやる策略家こと杏。実力が未知数なひな。唯一の救いは、アウトドアじゃないと実力が出ないタマが向こうにいること。でも野球ゲームだからそこまでマイナスじゃないんだよね。
「自分が操作するキャラクターのポジション決めよっか。守りの時は自分のキャラしか動かせなくて、それ以外はコンピューターがやってくれる。打撃の時は言わずもがな、だね」
「なるほど。……この画面はなんだ?」
「えーっと、まーくん。このゲームもキャラメイクってあるんだ?」
「……爺ちゃんここまで弄ったのか」
ポジションを選んだらまさかのキャラメイク画面。性別の設定から身長、髪、瞳等々の設定。その後には初期能力値が表示されていて、大量のポイントも表示されてる。そのポイントを使ってどの能力を伸ばすかってことらしい。バランス型を作るもよし、守備型を作るもよし、パワー型でもスピード型でもいい。ちなみにコンピューターが操作する他のポジションは、バランス型になるらしい。爺ちゃんの音声で解説があった。懐かしい声で思わずウルっとしたよ。
この勝負を盛り上げるために、キャラメイク中は敵チームが退室。終われば交代して、向こうの設定が終わったらゲーム開始。予想通りちーちゃんがやたら細かく設定してたらしい。杏も凝ってたようだけど。
「先行はそっちチームか」
「ピッチャーはやっぱり佐天くんなのね」
「やったことがあるのが僕だし。友奈と若葉は真っ向勝負ばっかりしちゃうからね」
「ゲームの読み合いで私に勝てるとでも?」
「やってみてからのお楽しみ!」
こういう時のセオリーは、プレイヤーたちの打順を前半に持ってくること。慣れてる人たちでやる時は、あえてバラけさせるって手もあるけど。今回は初心者が多い。ある程度固めてくるはず。一番慣れてるちーちゃんはクリーンナップのはず。
「ってあれ!? 一番なの!?」
「だから言ったじゃない。読み合いで勝てる気でいるの? って」
「……抑えたら問題ない!」
たいていのゲームだったら、どの球種をこれから投げるか見えるんだけど、それは今回非表示にしてる。自分でステータスを決められるこのゲームなら、自分で球種とかも伸ばせるからね。覚えてるのが当たり前。
様子見を兼ねて変化球から入るべきなのか、それともストレートで際どいコースを狙うか。ちーちゃんは僕の考えを読んでくる。裏の裏を読もうとして結局へっぽこ、とかにはなりたくないし。ちくせう、思考の沼に嵌っちゃうよ。
「まーくん! 直球勝負!」
「アイ・マム!」
「その手には引っ掛からないわ……よ?」
友奈に言われた通りストレートを選択してアウトコースに投げ込む。ちーちゃんはそれが演技だと読んだらしいけど、残念でした。僕は友奈に言われちゃったらその通りにしちゃう人間なのだ。最高速度も154km/hという馬鹿な振り方をしてる。変化球も勿論用意してるけどね。
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