ハーメルン
BLACK★ROCK SHOOTER -Wishing on a STAR-
一章 ~STARTING DESTINY~ 3
バイクを道なりに走らせていると、かなり遠くに煙をあげる何本もの煙突を見つけた。
もう少しで街に着くとトトは思った。
だが時刻は日の入りで、空が少し暗くなり始めており、疲れを感じていたトトは何処かで休息を取りたいと思い始めていた。
そんなとき、道路の脇に分かれ道があり、その先には建物が見えた。
トトは分かれ道の前でバイクを止めて、ステラの方を向く。
「ねえ、ステラ?」
「トト、まだ街には着いてない。」
「いや、うーんとね、もうそろそろ夜になるし、休みたいんだ...えっと...」
「......、トトがそういうのなら、私はそうする。」
「うん、ありがとう...じゃあ、ちょっとあそこに行ってみようよ!」
ステラは頷く。トトはゴーグルをかけ直して進路をその建物に向けた。
そしてその建物の前に着いたとき、そう思ったことを後悔した。
バイクのライトで照らされた白い壁やガラスは長い間放置されているらしく、黒く汚れていて、ツタが絡み付いていて、まるで建物を飲み込もうとしているように見えた。
そこは所謂廃教会というもので、薄暗い空と相まって不気味さを醸し出していた。
「え、えーーーっと...」
トトはどうしようか悩んだ。
だんだんと周囲も暗くなり出しており、今更引き返すわけ気にもなれない。
そんなトトを横にステラは扉に手をかける。
「わぁーーーー!?待って待って待って!」
「?」
ステラは不思議そうな目でトトを見つめた。
「...でも、トトが言い出したこと。」
「うっ...それは、そうだけど......」
「???」
トトの様子にステラは首をかしげる。
しかしトトには迷っている猶予は無い。
それでもトトはこの教会の中に入るのは嫌だった。
「誰だ?」
建物の影から黒い服のフードを深く被り、ランタンを持った男が出てきて二人に言った。
ステラは反射的にトトの前に立つが、トトは待って!と彼女の肩を掴んだ。
「ご、ごめんなさい!人がいると思ってなくて...。」
「......それはそうだろうな。ここに何の用だ?まさか迷い込んだ訳はないよな?」
ランタンの明かりでフードの奥の男の顔が照らされる。無精髭と長い前髪の隙間から赤い眼がギラリと光る。
「すみません...その、一晩泊めていただけたらと...」
「......着いてきなさい。」
男はそう言って裏手側へ歩いていく。
トトはバイクを押しながらそれに続いた。
教会の真裏に出ると、小屋が見えた。
「まさかここに足を運んでくる人がいるとはな...。」
「えっ?」
「いや、こちらの話だ...」
小屋に入るとストーブのおかげで暖かく、テーブルとソファが置かれていて、その奥にはキッチンが見えた。
「茶でも出そう。かけて待っててくれ。」
「あっ、僕はトトって言います...、彼女はステラ...です...。」
「......アレスだ。」
男は二人にそう名乗るとキッチンに立ち、ケトルに水を入れて火にかける。
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