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26「友だち」
トム、役にたつかもしれない呪文をまた見つけた。
—— ああそれじゃぼくを助けてくれるのか?
もちろん。そうするって言ったでしょ。
—— このあいだ話したときは、あまり助けることに興味がないようだったが。
どういう意味?
—— ユニコーンのことをえんえんと話していた。
ユニコーンはすごくすてきだったから。
—— その話はもういい。
じゃあなにが問題なの?
—— ぼくが質問をしたのにきみは無視した。
したっけ?
—— した!
何の質問?
—— おや、いまは気にしてくれるのか?
いつも気にしてあげてる。
—— 前回はそう見えなかった。
ほかのことを考えてたから。すごい経験だったからそれ以外考えられなくなってもだれも責められないでしょ。
—— 責められるし、責めるぞ。
けち。
—— ぼくはけちじゃない。きみがけちなんだ。本気になってくれてない。
わたしは十一才だよ。
—— そういう話はしてない!
そういう話だよ。助けてあげようとしてるのにプレッシャーをかけられてばかり。
—— ぼくにはきみしかいないからだ。
そうだよ!わたししかいないのに感謝してるようすがない。
—— 感謝? ぼくを狂わせてくれたから?
自由にしようとしてあげた。さみしくないように話しかけてあげた。信じる理由もないのに信じてあげた。ぜんぜん実力以上のことまでしてあげた。わたしはただの小娘なのに! これは本格的な魔法なんだよ。
—— 知ってる。
ほんとに? トムにとってはふつうの魔法かもしれないけど、わたしにとってはそうじゃない!
—— きみにとってのふつうはあまりふつうじゃないな。
またそれ! いつもわたしをばかにする!
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