第9話 悪夢克服と帝国
ハジメがとある吸血鬼の少女と大迷宮を脱出してから1ヶ月経ったこの頃、王宮の中庭には多種多様な武装をした少年少女らと、統一された武装をした大人らが集っていた。
「よし、クリスタベルさんの元に行っている大介と恵里以外は全員いるな?」
メルド団長が一部を除いて全員がいることを確認する。
「いるならいい。…………今日は3ヶ月に1回の大迷宮攻略の日だ!臆するな!確かにあの日はトラウマとなって閉まっただろう。だが、だからと言って引いていいのか?よくないだろう。あの日の悪夢を克服しない限り先には進めん!お前達が今日までどのような暮らし方をしたかは知らん。それでも、何か得ることが出来たのではないか?出来たのならそれを用いて乗り越えろ!悪夢に打ち勝って先に進もうではないか!!」
あの日の悪夢を思い出していたのか沈痛な面持ちであったクラスメイト達はメルド団長の激に励まされ、前を向く。
なんのための3ヶ月だったのか、それを問われている気がした。そう思うと、それをお披露目?するための日なのだろう。
確かに、見知らぬ土地、存在に怯えることもあった。しかし、それは人それぞれに現実逃避を止めさせ、覚悟を持たせるには十分な期間であった。
故に、クラスメイト達は初日の浮き足立った顔立ちや訓練中などで力に酔いしれていた顔立ちから、凛々しくも勇ましい顔立ちとなって此処に立っていた。
「それじゃあ、出発するぞ!!」
『はい!』
各チーム事に馬車に乗ってホルアドに向かう。
ちなみに英霊達には自由時間と言うことで自由にしてもらっている。あ、自由にしている訳は王宮からステータスプレートをくすねて、彼らに渡しているため職質されても何ら問題はない。まぁ、ヘラクレスはさすがにダメだけど。
あれからホルアドに着いて数日ほど経ち、今は60階層に居る。しかし、進み具合は初日と何ら変わらない。メルド団長の激が余程効いたのだろう。
そんなこんなで今は休息中、皆が皆、チームごとに反省点の確認やリラックスするために軽口を叩きあったりしている。
その中でAチームのメンバーの1人である白崎がずっと先を見つめ、八重樫が心配していた。
八重樫の心配そうな呼び掛けに、強い眼差しで眼下を眺めていた白崎はゆっくりと頭を振ると、八重樫に微笑んだ。
「大丈夫だよ、雫ちゃん」
「そう……無理しないでね?私に遠慮することなんてないんだから」
「えへへ、ありがと、雫ちゃん」
八重樫もまた親友に微笑んだ。白崎の瞳は強い輝きを放っている。そこに現実逃避や絶望は見て取れない。
「…………鈴、白崎が心配なのは分かるが、それは杞憂のようだぞ?まぁ、声をかけるのはいいがな。」
「うん。行ってくるね!」
鈴が白崎と接触する前に天之河がズレた発言をして白崎にディスられる。
休息をやめて行軍?する。一行は特に問題もなく、遂に歴代最高到達階層である六十五層にたどり着いた。
「気を引き締めろ!ここのマップは不完全だ。何が起こるかわからんからな!」
付き添いのメルド団長の声が響く。クラスメイト達は表情を更に引き締め未知の領域に足を踏み入れた。
しばらく進んでいると、大きな広間を見つけた。何となく嫌な予感がする一同。
その予感は的中した。何と広間全域にトラウムソルジャーがギチギチに詰まっており、唯一空いている元橋だった所の穴に雪崩のように落ちて行くがそれでもその量は変わらない。
それを見たクラスメイト達はは無論、騎士団達や嶺亜ですら頬を引き攣らせていた。
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