ハーメルン
戦姫絶唱シンフォギア×MASKED RIDER 『χ』 ~忘却のクロスオーバー~
第三章/改竄×断ち切られた繋がり③
市内の繁華街。信号の音が鳴り渡るスクランブル交差点では外回り中のサラリーマンやショッピングを楽しむ若者など多くの人々が行き交い、近くのデパートの壁に取り付けられた大画面には、海外で活躍する風鳴翼のステージでの盛り上がりの様子を彼女のファンである番組出演者が熱く語る特集番組が流れている。
そんな街の風景を後目に、響と別れて改竄を行った犯人であるイレイザーを探す為に街に出た蓮夜はとある路地の裏に訪れてその場に屈み、何かを探るかのようにジッと何もない地面を見つめていた。
(……気配は此処で途切れている……こうもあからさまに痕跡を残してるという事は、やはり俺を誘ってるつもりなのか……)
顔を上げると、路地の奥は暗闇に覆われていて此処からでは何も見えない。追ってきた気配……イレイザーの痕跡が此処で途切れているという事は、恐らく此処で人間態に戻りこの先に続く場所に潜んでいるのだろうか。
(この先には確か古い市街区があったか……成る程、人を寄せ付けないという意味では持ってこいの場所だな……)
人に聞いた話だが、十年以上前この街には表通りの繁華街とは別に、あちらより以前に活気づいていた大型のモール街があったと聞く。
しかし、ちょうど特異災害として確認されたばかりの頃のノイズが現れて猛威を振るい、政府側もまだノイズに対抗する術を確立していなかった事もあってまともに太刀打ち出来ず、街は著しい被害を受けてしまったらしい。
その後、政府はノイズの情報を隠蔽する為に人体に危険な有毒ガスの漏洩を理由にモール街を放棄し、まだ発展途上だった表通りの街に開発計画を集中して建て直したと聞くが、それも噂や憶測が入り交じっていて何処まで本当かは分からない。
ただ政府が一向に復興再開発を行わない事から噂を鵜呑みにする人間も多く、破棄された旧モール街に寄り付くのは素行の悪い不良達や行き場を失ったホームレスぐらいしかいないらしい。
(……もしかすると、奴らはそういった場所に集まる人間を使ってイレイザーを生み出してるのか……?)
ノイズによって棄てられた街に集った人間をイレイザーにし、ノイズを喰らわせて理性を犯す力を付けさせる……。
……何とも趣味の悪いと、想像するだけでも気分を害して不快げに眉を顰め、蓮夜は徐に身を起こして立ち上がっていく。
(とにかく、この先に犯人がいる可能性は高いが、こんなわざとらしく痕跡があるのはどう考えても怪しい……罠、と考えるのが妥当だが……)
この先に何が待ち受けているかは分からない。リスクを考慮して一度引き返す手もあるが、そうなると罠に気付かれた事を知ったイレイザーに逃げられる可能性もある。そうなれば次に発見出来るまでに一体どれだけの時間を要する分からないし、何よりも響の今の過酷な状況を考えると不必要に時間を掛ける真似は避けたい。
……ならば答えは一つしかないと、蓮夜はゆっくりと路地の奥へと進み出し、そのまま闇の中に溶けるように姿を消していった。
◆◇◆
―旧モール街―
寂れた廃ビル群が何処までも広がる旧モール街。ノイズの被害を物語るかのように当時の傷跡がそのまま残されてる建物や、不良達がこの場所で好き放題に荒らした落書きの跡などが多く見られるが、今は人気は一切なく寂れた風が瓦礫を揺らして鳴らす不気味な音が反響し、まるで怪物の叫び声のような怪奇音が街中に響き渡る。
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