ハーメルン
戦姫絶唱シンフォギア×MASKED RIDER 『χ』 ~忘却のクロスオーバー~
第三章/改竄×断ち切られた繋がり④


───同時刻。クロスとイグニスイレイザーが激闘を繰り広げるその頃、蓮夜と別れて公園を後にした響は一人帰路に付いて住宅街を歩いていたが、道中でふと足を止め、何かが気になる様子で来た道を振り返っていく。


「蓮夜さん……一人で大丈夫かな……」


 先程は彼に説得されて一度は引き下がったものの、やはり自分の為に蓮夜が一人で戦っている事が気掛かりなのか、響は心配を帯びた表情を浮かべてペンダントを失った胸に手を当てながら徐に拳を握り締めていく。


「……やっぱり、私も何か手伝いを……でも、今の私に何が……?」


 やはり蓮夜一人に事態の解決を任せてただ待つなんて我慢出来ない。


 しかしシンフォギアを失っている今、自分にイレイザーと戦う術がないのも確かだし、今の自分ではきっと足手纏いにしかならないだろう。


……だけど、それでも、それでも今の自分に出来る何かをしたい。


 悩むように瞳を伏せ、胸に拳を当てながらそう考えると、目を開けた響は僅かな迷いを滲ませる足取りで一歩踏み出そうとした、その時……





「──お前が……立花響、か?」





「……へ?」


 響が来た道を引き返そうとしたその時、背後から不意に声が聞こえた。驚きと共に振り返ると、其処には木の影から徐に姿を現す謎の人物……先程の公園で蓮夜とのやり取りを覗き見ていたフードの男の姿があった。


「?えっと……あなたは?」


「…………お前が…………何で…………お前だけ…………」


「え?」


 ボソボソっと、フードの男は顔を俯かせて何やら小声で囁いているが、あまりに声が小さく、距離もそれなりに開いている為に上手く聞き取る事が出来ない。


 そのため思わず訝しげに聞き返してしまう響だが、それに対しフードの男は何やらワナワナと身体を震わせながら顔を上げていき……





「──どうして、お前が…………なんで、なんで、なんでっ…………なんで生き残ったのがお前なんだァああああッッッ!!!!!!」





「……え……?」





 フードの下に見えたのは、響を捉えて離さない憎しみと哀しみが入り交じったような妖しげに輝く"赤い瞳"。


 突然の激昴を上げるフードの男のその瞳を見て響も何故か直感的に嫌な予感を感じ取り思わず後退りする中、フードの男の身体が禍々しいオーラに包まれて徐々にその姿を変えていき、カエルのような姿をした白と黒緑色の異形……フロッグイレイザーへと変貌していったのである。


「ッ?!イ、イレイザー……?!何で此処に?!」


『お前がっ……お前でさえなかったらァァああああああああああああああああッッッッ!!!!』


 フードの男が突如姿を変えたフロッグイレイザーを見て驚愕してしまう響に対し、フロッグイレイザーは支離滅裂な発言を繰り返して凄まじい殺気を放ちながら響へと問答無用で襲い掛かり、それを見た響も慌てて背中を向けてフロッグイレイザーから逃げ出していくのだった。

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