ハーメルン
戦姫絶唱シンフォギア×MASKED RIDER 『χ』 ~忘却のクロスオーバー~
第二章/邂逅×存在を赦されない存在②
「──奴が記憶を失ってる……だって?」
とある廃屋内。元は何かの工場だったのか、長らく放置された錆まみれの機械が多く見られる屋内にて、デュレンにより金髪の男と青髪の青年が集められ、彼から齎された情報……自分達が敵対している蓮夜に関わる情報を聞き、金髪の男は怪訝な反応でデュレンにそう聞き返していた。
「そうだ。先日の戦いを観察した際、奴の戦闘スタイルが目に見えて変わっているのが分かった……恐らく、我々が以前罠に嵌めた際に一命こそ取り留めたものの、代わりにこれまでの記憶を失う事になったのだろうよ」
「うーん……って言われてもさ、デュレンがそう言ってるだけで実際そうなのかなんて分からないでしょう?まあ彼と何度か交戦経験があるのはこの中じゃデュレンが一番多い訳だから、僕らも強くは否定出来ないけど……」
「確かにな……大体、記憶を失ってるからってソレが何になるんだよ?奴の力が厄介なままなのに違いねえし、実際に奴のせいでこれまで何人もの駒を消されちまってんだぞっ?」
記憶を失ったせいで戦えなくなったのならまだしも、蓮夜はそれでも変身して自分達の駒であるイレイザーを倒している。どっちにしろ自分達にとって驚異でしかないのは変わりないではないかと吐き捨てる金髪の男に、デュレンは両手をポケットに突っ込んだまま淡々と語る。
「記憶を失っただけとは言え、それは奴にとって死活問題なのに変わりはない。忘れたか?奴が変身するクロスの力の本質は繋がり……『他者との絆』をその身に具現化し、己の力とするだけでなく、奴と繋がりを得た人間にまで我々と戦える力を恩恵として与える……」
「知ってるよっ。そのせいで本来、フィクションの連中には倒されねぇっていう俺達の強味も打ち崩されちまうし、だから計画を動かす前に奴と装者共が合流しないように先に潰そうって話になったんだろっ?それが何の……」
「……分からないか?記憶を失ってる今、奴は嘗ての仲間の記憶も失い、これまでの繋がりも絶たれた事になる……つまり今の奴は、俺達と戦った時よりも遥かに弱体化しているという事だ」
真剣味を帯びた口調のデュレンにそう言われ、彼の話を半ば聞き流そうとしていた二人の表情も僅かに変わる。仮にもしデュレンの話が本当だと仮定すれば、今の蓮夜は確かに自分達にとって大した驚異になり得ないかもしれない。しかし……
「けど、奴がマジで記憶を失ってるって確証は本当にあんのか?もしかしたら向こうも俺達の事を欺く為に、わざと記憶がない素振りを見せてこっちを釣り上げようだなんて考えてるかもしれないだろ?」
「ハハッ、相変わらず用心深いねぇー……でも、僕も同意見かな。まだ一度しか彼の戦いを見てない訳だし、もう少し様子を見てから判断するべきじゃない?」
「分かっている、その為の次の一手を既に用意済みだ。先の使い捨ての駒とは違い、奴の力を測るのに適当な駒をな……アスカ、お前は其処で奴の力を見極めろ」
「ハアッ?!何で俺なんだよッ?!お前の方が奴の事に詳しいんだから、お前が直接確かめてくりゃいいじゃねえかッ?!」
「そうしたいのは山々だが、俺は欠けた駒を補充する為に色々と動かなければならないのでな……俺の代わりとなると、後は慎重派のお前ぐらいしか適任はいない」
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