0002話
さて、俺が前世の記憶を取り戻してから早2年。
今日は目出度く5歳の誕生日だ。
……とは言っても、例の如くこの家には俺一人なんだが。
と言うかこの2年の間で父親が帰ってきた回数は4回。母親に至っては2回だったりする。
通信ではそれなりに会話したりしているが、それだって月に1、2回程度だ。
仕事ってそんなに面白いのかね?
前世での自分を思い返すに、仕事なんてのはやらなければ生活が出来ないからやるけど、自分から好んでやる程のものじゃないと思うんだがね、これが。
「お? 今のはちょっとアクセルの口癖っぽかったか?」
そんな風に思いつつ、家族で使っている口座に今月分の生活費が入っているのを確認する。
「せめてもの救いは毎月きちんと生活費を入れてくれて、育児放棄じゃないって事か」
口座の中には誕生日プレゼントでも買えというのか、いつもより3割増し程の入金がされていた。
正直、仕事人間だけあって両親の収入はかなり多い方だ。でもって放ったからしている影響か毎月入金される生活費もかなり多い。
そうだな、前世の感覚で言うのなら大体1月100万程度と認識して貰ってOKだと思う。
でもってそれの3割増しなので130万円。
取りあえず、これ幸いと全額を自分の口座へと移す。
自分の口座の残金を見ると、かなり凄い事になっているのか分かる。
考えてみて欲しい。俺が住んでいるのは両親の持ち家である。電気・ガス・水道等の公共料金は両親がきちんと払ってくれている。
つまり1月100万円のうち、俺が実際に使うのは食費と日用雑貨くらいなのだ。その食事にしたって、1食1000円、少し豪華な食事でも2000円程度だ。
後は簡単に取れそうにない栄養のサプリとか。
……外食で懐石料理やらフルコースなんかを食べたりすれば話は別なのかもしれないが、俺みたいな幼児が1人でそんなレストランなりなんなりに行ったってまともな対応はしてくれないだろう。
で、結局は体の栄養を考えてバランス良く食事を取る事になる訳だ。
後は、シャドウミラー参加に備えて勉強用の資料やら軽いトレーニング器具程度だ。
今までで一番大きい買い物は、この世界でもやっぱりあったバーニングPTの筐体で50万円弱となる。さすがに大きくて自分の部屋には置けないので居間にあるが。
「にしても……」
バーニングPTに考えが及んだ事で、溜息一つ。
俺のイメージとしては、アクセル=近接戦のスペシャリストだった。実際、スパロボOGsでも近接戦……っていうか、格闘戦がメインのソウルゲインを専用機にしてたし。
「でも、バーニングPTで判明した俺の特性は高速機動と遠距離からの射撃戦闘なんだよな」
もちろん近接戦闘が苦手という訳ではない。
それどころか、ネット対戦では立派に近接戦闘技能が通じている。
ただ、それ以上に射撃に対する才能があっただけだ。
「これも転生特典と考えるべきか?」
そうそう。転生特典と言えば俺の能力の1つである空間倉庫。
ある時、ふと思いついてもしかしたら某金ぴか王様ごっこが出来るかも? と思ったんだが……無理だった。
そもそも、倉庫の中身の射出自体が出来なかった。
倉庫から取り出そうとすると、俺の周囲に中身が出てくる。意識すれば手元にも可能って感じだな。
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