2646話
「座標的には、この辺りの筈なんだが……クリス、何か分からないか?」
『あのねぇ、MSの性能差を考えてよね。ジムスナイパーⅡならともかく、ヅダはアクセルの使ってるガンダム7号機に比べれば、どうしても索敵能力は劣るんだから』
俺の言葉に、呆れたようにクリスがそう言ってくる。
まぁ、その言葉そのものは間違っていない。
ヅダはこの戦争中に開発されたMSとしてはかなり高性能なMSではあるが、それでもやはりジオン軍の最新鋭機たるゲルググには劣るし、ガンダムのセカンドロットとして開発されたガンダム7号機と比べても当然のように劣る。
そんなヅダで、連邦軍の未確認MSを見つけろというのが難しいのは分かっているが……それでも、戦力として数えられるかどうかと言われれば、十分数えられるのだ。
「それでも、この辺り……っと、あれか?」
クリスとの会話中に、映像モニタに爆発の光が幾つか見えた。
勿論、現在はア・バオア・クーを攻略する星一号作戦が行われている以上、この近辺で戦いが行われていてもおかしくはない。おかしくはないんだが……それでも、俺がラルから聞いた話では、この近辺では戦いは行われていない筈だった。
とはいえ、そこら中で激戦が繰り広げられている以上、戦闘中に移動してこの宙域にやって来た者がいても、おかしくはないのだが。
連邦軍にしてみれば、レビルの弔い合戦という意味があると同時に、この戦いで勝てばジオン軍にはもう後がない。
ジオン軍にしてみれば、ア・バオア・クーを落とされれば、もう残っているのはサイド3だけだ。
どちらにしても決してここで退けない以上、お互いが全力で戦うというのは間違いなかった。
そんな状況である以上、この周辺にまで戦いながら移動してくる奴がいても、おかしくはない。
『どうするの?』
「取りあえず近付いてみる。結局のところ、誰が戦っているのかを確認しないと、こっちにはどうしようもないしな」
そう告げ、スラスターを噴射させて戦闘の光のある方に向かって進む。
その爆発光は未だに幾つもあり、それ以外でもビームの光が瞬いて見える。
少し前なら、ビームの光というのは連邦軍のMSだけだったんだが……ゲルググが採用された今となっては、ビームの光と連邦軍のMSはイコールではない。
もっとも、リックドムとかも一応拡散ビーム砲を持っていたが。威力に問題があって、目眩まし程度にしか使えないらしいが。
そんな事を考えつつ戦場に近付いていくと、やがてその光景が映像モニタに表示される。
そこに表示されたのは……
「ビンゴって奴か」
映像モニタに表示されたMSを見て、そう呟く。
そこに表示されたのは、俺が見た事がないMSだったのだから。
……実際には、見た事がない訳ではない。
ぱっと見ではあるが、映像モニタに表示されているMSは何だかんだと俺に縁の深いジムスナイパーⅡをベースとして改修されたMSだったからだ。
だが……それはあくまでもベースになっているというだけで、MSの外見はジムスナイパーⅡとは大きく変わっている。
何よりも驚いたのは、その機体がジャイアントガトリングを使っていた事だ。
そう、それはガンダム5号機が使っているジャイアントガトリングと全く同じ武器。
同じ連邦軍の武器だし、そう考えれば使えても不思議ではないんだろうが。
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