2655話
「あれだな」
リュウ達と別れてから少しして、俺はアムロが戦っている場所を発見する。
予想通り、リュウが示した場所ではなかったが……かなり動き回りながら戦っているのを見れば、それはしょうがない事だろう。
『アクセル、じゃあ私とレコアは後ろに下がるわ』
「ああ。ただ、エルメスには無線で動かせるビットがあるから、それについては気をつけろよ」
サラミスやマゼランといった軍艦を容易に撃破するだけの威力を持ったビームを放てるのだ。
機動力を重視する為に装甲が薄いヅダなら、それこそ一撃で撃破されてしまうだろう。
一応ヅダは関節部分にルナ・チタニウムを使っているのだが、実弾には強い防御力を発揮するルナ・チタニウムでも、ビームが相手だと全くの無意味だからな。
ビグ・ザムのIフィールドを装備出来れば、ビームに対しての防御は十分なんだろうが……あれだけの巨大MAが使っていたのを考えると、MSが装備するのはまず不可能だろう。
将来的に、その辺の技術力が上がってくれば、MSにも装備出来るようになるかもしれないが。
2機のヅダをその場に残し、アムロが操縦するG-3ガンダムの方に近付いていく。
アムロは、周辺を飛び回るビットからのビームを回避しつつ、シャアの乗る赤いゲルググが放つビームライフルも回避していた。
異名持ちとニュータイプの攻撃を回避してるのは素直に凄いと思うが、アムロだって結局のところ1人の人間でしかない。
幾らニュータイプとして高い能力を持っていても、こうまで連携して攻撃をされ続ければ……何とか回避は出来ても、反撃をする隙はないのだ。
シャアのゲルググのビームライフルは、恐らく連邦軍と同じ技術である以上、エネルギーを全て使ってしまえば、一度ア・バオア・クーなり、充電の為の機器がある場所まで移動する必要があった。
もしくは、充電済みのビームライフルを誰か他の仲間に持ってきて貰うか。
ただし、このア・バオア・クーでの戦いはジオン軍にとっても後がない戦いだ。
エネルギーの充電が完了して、誰も使っていないビームライフルがあるのなら、それこそすぐにでも誰かに持たせて戦場に出すだろう。
……あるいは、シャアのように異名持ちなら特別扱いされる可能性も否定出来ないが。
ただ、当然のようにシャアもその辺については考えているらしく、ビームライフルの射撃は可能な限り少なくしている。
……そんなシャアに比べると、エルメスのビットは核融合炉を内蔵しているので、エネルギー切れの心配はない。
もしかしたら、他にも何らかの制限がある可能性はあるが……こうして外から見ている限りでは、特に制限があるようには思えなかった。
そんな中……
「そこ!」
G-3ガンダムに近付き、射程圏内に入った瞬間にビームライフルのトリガーを引く。
放たれたビームは、G-3ガンダムの下に回り込もうとしていたビットを貫き、爆散する。
一瞬……本当に一瞬だったが、戦場にいた3機の動きが止まった。
まさか、この3機の戦いに入ってこられる奴がいるとは、思わなかったのだろう。
ユウが無事だったらこの戦闘に参加出来たかもしれないが、残念ながらユウのブルーデスティニー3号機は損傷を受けて、この戦いに参加する事は出来ない。
だからこそ、アムロも自分がシャアとエルメスに乗っているニュータイプは自分が倒さなければならないと、そう思っていたのだろうが……そこに乱入してきたのが俺だった。
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