出現
(ここはどこだろうか?)
一瞬そんな思考がよぎった、しかしよく見るといつものギルドであることがわかる。
今日はユグドラシルというゲームのサービス終了の日であり、今この時既に終了していなければならない。しかし自分は今もここに立っている。凛々しい騎士王の姿で…
違和感を覚えたのはそれだけではない、いつも使っているギルドの部屋見え方が僅かだが確実に違う。光の反射や色合い、雰囲気が明らかに変わっていた、一瞬とはいえこの場所が何処なのかと疑問に思ったのはこれが原因だろう。
アップデートだろうか?、と思ったがサービス終了直前でやることではない、というよりサービスは5分ほど前に終了しているはずだ。
疑問に思いながらもギルド内を歩き回ろうとして足を踏み出し新たな違和感を覚える。
まるで現実の世界で歩くような感覚である、一歩踏み出したまま自分の右手を持ち上げ握ったり開いたりを繰り返す、あまりにも現実味のある感覚でありゲームの中とは思えない。
まさか……嫌な予感がする
僅かな恐怖と混乱に言葉も出ず若干パニックぎみに運営にコールしようとするが何故かコントロールパネルから消えている。
「どういうことだ!」
声を荒げてはいるが頭の中には冷静な部分があることがしっかりと認識できている。
そして慌てているはずの自分だが何故か冷静に状況を把握し始めている。
(おかしい、自分はこれほど冷静沈着な人間ではないと思ったが)
しばらく色々考えたが、とりあえず今出来ることを確認しようという結論になり、ギルド内や自分の身体を確認し直した。
そうこうして1時間程経ち出た結論は嫌な予感そのままのゲームの世界に来てしまったということだった。
一度状況を理解してしまえば、次は何をすべきか考えを巡らせる。どうやらこの身体もアバターを作る時に考えた設定どうりであり、それは身体だけでなく頭のスペックも高いようだ。
今自分のいるギルドは洞窟型のギルドであり最下層のこの部屋を除けば広大な洞窟となっている。
そしてその中には下級から最上級のドラゴンで埋め尽くされている。
その為ドラゴンのダンジョンと言っても差し障りなく最下層を守る自分もドラゴンを混ぜ込んだスピリットという設定であり、まさにドラゴンしか居ないダンジョンである。
とりあえずこのままでは情報が足らなすぎる為小型のワイバーンに外の偵察に行かせることにした。
(外の世界もユグドラシルのままであれば状況も把握しやすい)
そう考えたのだが、ワイバーンの視界と繋げて見た景色は自分の知っている景色とは大きく違っていた。
(ユグドラシルとは全く違うなこの感じではプレイヤーも私だけの可能性もだいぶ高い。どうする、とりあえず周辺の国から様子を見ていくか)
情報収集を始めたから1週間が経ちある程度のことが分かった。
このダンジョンから一番近くにあるのが帝国という国でありその他にも国があるということ、そしてこの世界にも人間のほかに亜人がいること。
さらにこのダンジョンの入り口が若干目立つところに出来てしまった為、帝国の冒険者などが調査に来ていることである。
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