prologue2
side遊星
「小倉朝日と申します。どうかお二方とも。宜しくお願いします」
き、緊張する!
可笑しなところはなかったかと内心では焦りながら、笑顔で動揺を隠してやって来た三人に僕は挨拶をした。
八十島さんに話は聞いていたが、こうして直接会うのはやはり勇気が必要だった。
敬愛するルナ様と同じ銀髪で赤い瞳のスーツ姿の男性が、桜小路才華……様。
幼い頃のりそなに似た容姿をして、着物に似たゴスロリ服、確か和風ロリと呼ばれるジャンルの服を着ている女の子が桜小路亜十礼……様。
それと僕と同じデザインのメイド服を着ている紅い髪の女性。
……八千代さんに似ている。確か八十島さんの話では名前は山吹九千代さん。八千代さんの姪らしい。
三人とも、僕を見つめて固まっている。まさか、僕が大蔵遊星だとバレるとは思えないけど。
「……お父様?」
いきなりバレたぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!!
才華様が呆然と呟いた言葉に、僕は大量の冷や汗が背中に流れるのを感じる。
えっ!? 何でバレたの!? 認めたくないけど、子供の頃一緒に遊んだ湊にも最初の頃はバレなかったのに!?
……冷静に考えてみると、それはそれでショックなんだけど。
とにかく、此処は演技を続けて何とか誤魔化さないと!
「……はっ?」
「お、お兄様!? 一体何を言っているんですか!? この方は女の人ですよ! お父様じゃありません!」
「……あっ」
慌てるアトレ様の様子に、呆然としていた才華様は気がついたかのように首を横に振るった。
……気がついていない?
それじゃ、どうして才華様は僕の事をお父様って呼んだんだろう?
「……申し訳ない。見ず知らずの女性をお父様と間違えるなんて」
「い、いえ! ちょっとは驚きましたけど、き、気にしてませんから!」
「本当に申し訳ない」
才華様は謝罪しながら、僕に近づいて来てジッと顔を見つめだした。
「……な、何でしょうか? ご子息様」
「……才華」
「はい?」
「僕の名前は桜小路才華。才華って、貴女には名前で呼んで欲しい」
「……えっ?」
何がどうなっているのか分からない!?
えっ? 僕の正体に気がついている訳じゃないんだよね?
と言うよりも、才華様の両手が、何時の間にか僕の両肩に乗っている。
「あ、あの?」
「何?」
「……手が肩に乗っているんですけど。それに顔が近いです」
「ッ!?」
才華様は慌てて、僕の肩に乗せていた手を離して傍から離れてくれた。
安堵の息を吐きながら、思わず両手を胸に当てて才華様から僕も離れる。
その動きに才華様は動揺したように体を震わせた。
……何だろう? もしかして本当は僕が男だと気がついているのだろうか。とにかく、このままではいられないと思い、成り行きを見ていた八十島さんに声を掛ける。
「八十島メイド長。夕食の準備は出来ております。すぐにご子息様とご息女様はお食事になされるのでしょうか?」
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