少年6
〇月?日
ベートが19歳を迎えた。因みに僕は12歳になった。
久しぶりに日記を書く気がする。何時ぶりだ?……確か魔剣ではなく聖剣を目指すようになってからか。
魔剣は元より金さえ払えば手に入れられる物で、数多くの人がその力と使い方を知っているが…。
聖剣に関しては何もわからない。斬った相手の傷が癒されるのか、はたまたモンスターしか斬れないのか。もしくはビームが出るのか。
今も尚、成果をあげることは出来ていない。
まぁ今はそんなこといいか…。
ベートによく連れていかれる豊穣の女主人に今回も飯を食うために呼ばれた。狼族は一人を好むって習性はどうやら嘘みたいだ。
どうやら今日はヤケ酒らしい。
何でもアイズに構ってもらえないやら、最近アイズの周りをうろちょろしてるエルフが居るなど。
色々と面倒だ。「雑魚がアイズの周りをうろちょろしてんじゃねェ!」と酔いながら何度も怒鳴っていた。
周りに凄く迷惑をかけていたと思うので、女将さんになるべく強くて高い酒を貰いベートに注いだ。あいつはそこそこ酒には弱い方なので30分くらいで潰れてくれたので助かる。
ガレスや椿クラスになると、朝まではかかる。
アイツらと飲みに行った記憶は早々に忘れたい。別に何かしたという訳では無いが…。泣いたわけでも無意味に絡んだ訳でもないけど。思い出したくはないな。
酒は好物と呼べるものだが、僕は酔わない…いや、酔えない─か。
〇月☆日
ベートの所の団長が僕を訪ねてきた。
ベートと仲良くしてくれてありがとう、やら社交辞令を一通り終わらせると話題は急展開を迎えた。何でも、アイズの剣を見たらしく打って欲しいとのこと。剣ではなく槍ならば大丈夫だとベートからも言われたのできた。そう言われた。
しかし、槍は作ったことがないという理由で断らせてもらった。本来ならLv6の【勇者】の依頼など鍛冶師からすれば喉から手が出るほど欲しい案件だ。
別段、フィンのことが嫌いという訳では無い。
ただ、回り道をができるほど僕には余裕が無い。
やはり彼もダメ元できたらしく、そこまで落ち込むことは無かった。
そして最後にフィンから「エルフが憎いかい?」
と聞かれた。意図はわからないが僕は思った通りに答える。
「どうなんだろうな?」
確かに彼等のおかげで怒りという感情が理解出来た。そして少なからず感情が残っていることも教えて貰えた。
どうなんだろう?感情かがあると分かっただけで、理解は出来ていない。時折胸が締め付けられたり、穴が空いたりと心がざわめく。
それは感情なのか?
分からない。
フィンへの問いに、僕は答えられるだけのココロを持っていない。
僕はエルフを憎んでいるのだろうか?
〇月^日
少しダンジョンに潜ることにした。
ベートを連れていこうとしたが、外出中との事なのでソロできた。僕もLvが以前と比べると上がったので中層は勿論のこと、深層も問題ない。Lvが上がったと言うよりも、折れない魔剣という絶対的な味方がいることが何より大きい。
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