第二話
龍聖の事は、企業の機密事項の一つとなった。そこからは大変であった。龍聖の専用機開発に新たな機体の開発に、開発主任を始め、研究者は休日返上で、龍聖の専用機の開発に携わったのである。また、龍聖自身も機体開発に携わっていたのである。
龍聖の専用機開発を始めて、一年の月日が経った頃、漸くひな形である機体が組み上がったのである。
「第二.五世代機“雷鳥”………龍聖の言う通り、お前が触ったコアを入れている。これでも駄目だと言われたら俺たちはどうしようもないぞ?」
「ああ。頼むぞ」
龍聖はそう言うと、雷鳥に乗り込む。すると、機体はスムーズに起動していき、龍聖を包み込んだ。
「やっとか………これで、俺の専用機となったんだな………」
『おはよう‼ マスター』
「は?」
龍聖は雷鳥に酔いしれていると、深層世界で出会った少女の声が響き渡った。
『私のこと…忘れちゃったの?』
「いや……まさか………コアの人格主か?」
『うん♪』
龍聖がコアの深層世界で出会った少女のことを思い出すと、少女は嬉しそうな声を出して答える。
「いや、いきなり過ぎて、訳が分からん」
『大丈夫‼ 私がついてるから‼』
「いやいや、そういう事を言ってるんじゃなくてだな………」
「りゅ、龍聖……まさかと思うが、コアの人格が表に出ているのか?」
「あ、ああ。え? まさか、親父達にも聞こえてるのか?」
龍聖の質問にその場にいた全員が頷く。
「えーっと、何て呼べばいいんだ?」
『そこはマスターに決めてほしいかな?』
コアは自分の名前を龍聖に決めてほしいと言い出す。龍聖はそれに応えようと、頭をフル稼働させるが………中々、いい名前が思い浮かばなかったのである。だが、コアが使われていた機体の名前には、ある共通点があった。
「あっ、そういえば二機とも鳥の名前を使ってたな………鳥の名前、鳥の名前………ヒナってのはどうだ?」
『ヒナ⁉ 鶏の子じゃない⁉ 確かに私は生まれたばかりだけど、ヒナって名前は安直過ぎやしないですかね⁉』
「いや、鳥から連想されるもので、生まれたばかりと言う事なら間違ってないと思うけど?」
『………言われてみれば………一応納得しとく……だけど‼ 絶対に名前を変えてもらうからね‼』
「あ、ああ。と言う事で、この機体に使われているコアの名前を“ヒナ”ってするから」
龍聖は大虎たちに告げる。大虎と蒼龍は一瞬だけだが、呆けてしまう。だが、すぐに言葉を理解した。
「判った。それはお前の機体だ。さ~て、仕事が増えるな」
大虎はそういうと、高笑いするのであった。
それから、数か月後。龍聖たち黒崎家はとある場所に招かれていた。龍聖はヒナが「私も連れていけぇ‼」と煩い為、致し方が無く、雷鳥を待機状態にして見に着けていた。因みに雷鳥の待機状態は、鳥の羽を模した物を付けたネックレスである。
「この度は、態々来て頂きましてありがとうございます」
「いえいえ、こちらとしても嬉しい限りですよ。まさか、最初は小さかった病院が気が付けば、大病院になっていたんですから」
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