関わり
「AN-94。俺と一戦やらないか?」
「……え?」
AK-12から話を聞いて、一晩明けた。
俺は朝の執務室で当然の様にドアの前に立っていたAN-94に声をかけた。
アニーがこちらをジト目で見てきたが気にしない。
「相棒と?」
「ああ。お前の力も見たいしな」
「おかしい事を言うのね。私の実力は貴方が一番よく知ってるはずよ」
「なら、俺の実力を見せてやろう」
「人形相手に?それに、私は軍用よ?敵いっこないわ」
「お、言ったな?じゃあ俺が勝ったら何か言うこと聞いてもらおうかな」
「ジョージ?無駄話はそ、こ、ま、で、よ」
「いででででで」
アニーに耳をつねられる。
何で馬力落としてるのに痛いんだこれ。
「大体、貴方リハビリ終わってからそんなに経ってないでしょう?大丈夫なの?」
「心配してくれるのかアニー?優しいねぇ」
「また体壊して寝込んだらローニンがうるさいわよ」
そう言うアニーの耳が赤い。
可愛いなぁこいつ。
頭に手を乗せてそのまま撫でくり回した。
「相棒」
「うん?」
「私が相棒に勝ったら……その、私のお願いも聞いて欲しい」
「勝てないって言ったのお前じゃなかったか……?構わんぞ」
「ありがとう。それじゃ」
AN-94が軽やかな足取りで執務室から出ていく。
「……良いの?そんな口約束」
「ははは、アニーは俺が負けると思ってるのか?」
「あの子、首輪と鎖部屋に置いてるわよ」
「ハ―――――――えっ、ウソだろこわ……」
――――――――一週間後。
あれから、戦闘のカンを取り戻す為に春を相手にひたすら模擬戦を行っていた。
何故春かって?
一番容赦が無いからだ。
俺を気遣って手を抜くと言った事をしない。
それに……戦闘モードの春を捌けない様じゃ俺が彼女を御せないし、AN-94にも勝てない。
「お疲れ様です。いよいよ明日ですね、指揮官」
「あ、…あァ…」
地面に大の字で横たわる俺と、それを上から見下ろす春。
息が全く上がっていない春を見て少し自信を無くす。
バンガードも隣でへたり込んでいた。
「動きも大分戻って来ましたね」
「まぁ、流石にバンガード使わなきゃ人形とやり合うなんて無理だからな……」
「……わーちゃんと、確執の精算は出来た筈です……もう、貴方は戦わなくても良いんですよ」
「ありがとな。でも、俺の残してきた責任だ……やっぱり、俺がやらないきゃいけない」
中途半端に関わって、AN-94を追い詰めてしまった。
だから、俺がやらなきゃならない。
「ジョージ……」
「心配すんなって。俺には綺麗な勝利の女神が着いてる。今度お礼するよ」
「……今夜は、一緒に居させてください。貴方が勝てる様に」
「……ありがとな」
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