ハーメルン
借金から始まる前線生活
指揮官研修

鉄格子越しのショッキングな出会いから一週間が経った。

この一週間で俺の生活は一変してしまった。


朝から深夜まで本部に所属する様々な指揮官達から指導を受ける。
もしくは、戦術人形達の運用を見る為に現地に入り直接戦闘に参加することもあった。

そして終われば報告書祭り。

睡眠時間もガッツリ削られてしまっている。

「やる事が…やる事が多い…!」

現在、腕には大量の報告書が詰まったダンボールが二箱抱えられていた。

報告書…と言っても中身はフロッピーディスクである。
こいつを戦術人形に打ち込むと戦闘経験をそのまま反映しレベルが上がるとか。

…まぁ、これだけあるのは流石本部と言うべきか。
そしてこの量をたった一体の人形に使うのだからそれも凄まじい。

「指揮官」
「…ぎゃあぁぁぉ!?」

エレベーター待ちをする為に足を止めた瞬間、耳元で囁くように声が聞こえてきた。
思わず叫んで跳び上がった俺は悪くない。

周囲に人が居なくて良かった…と一瞬思ったが逆だ。
誰も居ないから来たのだ…彼女が。

「そんなに驚かないでください。傷付きます」
「え、M4…」

背後に立っていたのは、戦術人形M4A1…独房で初めて会ったときと同じ様に笑っている。

「どちらに行かれるのですか?」
「さ、さっき製造されて配属になった人形の所だ」
「へぇ…」
「…ヒェッ」

のっぺりとした笑顔に背筋が凍る。
本当に何を考えているのか分からない。

「あと…俺はまだ指揮官じゃないんだ、M4」
「ふふ、分かってます。でも、()()指揮官になってくれるんですよね?」
「」

この子元からこんな子なんじゃねぇのクルーガー。

「なので…今、他の子の所に行くのは目を瞑ります」
「今て」
「楽しみにしてますからね…?」
「お、おう…所でM4」

名前を呼んだら花が咲くような素敵な笑顔をしてくれた。
…何だろうこの罪悪感。

「何でしょうか指揮官♡」
「…部屋からYシャツが一着消えたんだけど、知らない?」
「それでは指揮官、また夜に」
「おい!やっぱりお前か!待てや!…消えた!?」

目下の悩み…そう、俺を指揮官だと誤認しているM4A1だ。
ひと目のある場所では特に何もしてこずジッと見ているだけだが…。

俺が一人になるタイミングで何処からともなく現れ話し掛けてくる。

それが何処だろうと、気配も音も無く現れるのでとても心臓に悪い。

「黙ってりゃ可愛いんだけどな…」
「ありがとうございます指揮官♡」
「!!!?!!?」

辺りを見渡すが、誰も居ない。
…エレベーターが到着していた。

「いや、ホント…勘弁してくれない?」

もうこれホラーだよ。

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