ハーメルン
レイシフトの私的な使用は法律で禁止されています
Ⅴ 酒と金とタバコと"女"



午後9時
俺の私室




「…よろしい。時間通りで…大変よろしいです。」


目の前にはカリブ海で恐れに恐れられた黒ひげなる海賊がいる。
その海賊相手に何でこんな高慢ちきな態度を取れるかと言うと、俺は弱みを握ってしまったからだ。
普段は「デュフフフw」とか言ってる黒ひげことエドワード・ティーチが、俺に向かって声を張り上げる。


「このッ、東インド会社のクソッタレ野郎めっ!外道!人でなしぃ!」


だが俺は動じない。
パイレーツ●ブカリビアンのベケッ●卿みたく涼しい顔をして、そして彼の前で何枚かの写真をちらつかせた。


「ほほう。そういう態度を取るのであれば…この写真は破棄せざるを得ませんな。」

「ぬおおおッ!?メアリーたんの生着替え写真っ!?お、オノレエエエエエエッ!メアリーたんを盾に使うなどッ!」

「全ては…利益の為に。」


いかんな、本格的にベケッ●卿になってきてる。
まあ仕方ない。
全ては利益の為であるのだからして、仕方ない。
え?何?なんて?
俺がメアリーたんの写真持ってる理由?
いやいやいや、俺の趣味じゃない。

ただ…ちょっとその…ほら、非常時は利用できるものをなんでも利用しないと。
だからその…この間メアリーたんの部屋のエアコン壊れて修理しに行った時に隠しカメラの一つや二つぐらい仕掛けてたとしても仕方ないじゃないか(謎理論)。

俺としては、手に入れたいものがあったし、ござる氏にとっても、この写真は是非とも手に入れたい一品であろう。
だから取引が持ち上がったのだが…継続的に写真を入手可能な以上、利は俺にある。
交渉において一番大事な事はイニシアチブを取る事なのだ。


「くそぉ!くそぉ!拙者のメアリーたんがッ!拙者の知らぬ間に盗撮されてるなんてッ」

「あ、じゃあこの写真燃やします?」

「テメェ燃やすぞこの野郎」


ここマジトーンになるのかよ。


「まあ、写真は手に入るんです。嘆く事はないでしょう。例の品は持ってきましたか?」

「おうよ、東インド会社のクソ野郎ッ!受け取りやがれッ!」


いやだから誰がベケッ●卿やねんと思いつつも、俺は黒髭から"例の品"を受け取る。
それは30cm程のクリアケースによって保護された精巧なフィギュアで、俺の注文どおりに作られていた。

俺はルーペを取り出し、精査を始める。

おい、誰だ今ダイ・ア●ザー・デイの冒頭シーン思い浮かべた奴(いねえよ)。

これは爆発しないから大丈夫だよ。
たぶん、きっと、おそらくは。
でも、まあ、嫌だな。
「顔にフィギュアの断片が突き刺さった男」とか呼ばれるのは嫌だな。
キューバでドイツ人になりたい。


くだらない事を考えつつも、俺はフィギュアの精査を行う。
うぅん、これは確かに素晴らしい。
注文通りの内容が、こちらの想像をはるかに超えるクオリティで再現されていた。
職人技と呼ぶのに全くもってふさわしい。


「うん、うん、発注通りですな。」

「職人(メディア)さんのこだわりは半端じゃねえからヨォ!造形から伝わるクラフトマンシップ、そこに痺れる憧れるゥッ!!」

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