9.さいしょはいきおいがだいじなのだー
先に結果から言うと、この時行った建造では、四隻の駆逐艦と、一隻の軽巡洋艦を迎え入れることができた。
一隻目の夕立に次いで建造に成功したのは、駆逐艦、雷。
「じゃーん! こんにちは、司令官! 雷よ! かみなりじゃないわ! そこのとこもよろしく頼むわねっ!」
茶髪に同色の瞳、体格は夕立よりやや小柄な少女だった。元気よくドックから立ち上がった雷は満面の笑みを僕に向け、八重歯をのぞかせた。
次に着任したのは、同じく駆逐艦の時雨。
「こんにちは、提督。僕は白露型駆逐艦、時雨。これからよろしくね」
黒い髪を三つ編みにし、眼は青みがかっている。金髪の夕立、茶髪の雷と続いたので、日本人らしい黒髪の姿は少しだけ僕の心を落ち着かせたが、凪いだ水面のような瞳に少したじろいでしまった。
時雨はそんな僕の態度に気付いた様子はなく、おや、と傍らに控えていた夕立と雷に目をやった。
「夕立も居るんだね、嬉しいな。あっ、雷もよろしくね?」
「っぽーい! 一緒に頑張るっぽい!!」
「ついでみたいにひどーい! ……なんてね! 姉妹艦が居ると嬉しいものね! 良かったわね二人とも!」
どうやら夕立と時雨は姉妹艦というやつらしい。作戦に直接関係はないからか、座学では深く掘り下げていなかったけど。
でも悪いことでは無さそうだ。本人たちも嬉しそうだし、妖精さんたちも満足げに顔を見合わせている。姉妹のほうが意思疎通しやすいのかな。だとしたら作戦行動にも影響してくると思うんだけど……。
それはひとまず置いておき、四隻目の建造に移った。
すると、
「やあ、響だよ。その活躍ぶりから不死鳥の通り名もあるんだ。信頼は裏切らないよ」
「やったわね司令官! 響よ! 私の姉妹艦なの!」
「хорошо.雷じゃないか。これは嬉しいな」
駆逐艦、響が着任した。夕立と時雨同様、雷と響は姉妹艦らしい。
建造に成功した四隻のうち、二隻二組がそれぞれ姉妹だったわけだ。これはどれくらいの確率なんだろう? まぁまず、どれくらいの艦娘が存在するのかなんて、僕にはてんで分からないんだけど。
着任を喜び、それぞれ親交を深めている四人を尻目に、僕は五隻目の建造に移った。
「はじめまして、五十鈴です。水雷戦隊の指揮ならお任せ。
全力で提督を勝利に導くわ。よろしくね?」
そしてついに、念願の軽巡洋艦の建造に成功した! いすず、というらしい。水雷戦隊の編成を目指そうと考えていた矢先、頼もしい言葉を放ってくれる。
黒い長髪を二つに束ね、瞳は……すこし緑っぽいだろうか?
とにかく軽巡洋艦だ。これで、当面の作戦に最低限必要な艦種は揃ったということかな。
視線で妖精さんたちに建造を続行するか問うと、揃ってブンブンと首を横に振った。
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/2
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク