ハーメルン
起きたらマ・クベだったんだがジオンはもうダメかもしれない
第0話:0079/04/15 マ・クベ(偽)基地に立つ

朝起きたらマ・クベだった、訳が分からない。
久しぶりの連休に浮かれて酒を飲みながらガンダムのBOXを見ていたのが最後の記憶、次に気が付いたら、妙に古臭いSFチックな部屋に居た。
二日酔いに痛む頭を抱えながら何処だと見回している内に目に留まった姿見に映った姿は、血の気の悪い神経質そうな優男、僕らの良く知る壷の人、マ・クベその人だった。
一応現実逃避の為に変顔やら怪しい踊りなどを披露してみるが、まったく遅滞なくトレースして動く姿見の中の人、うん、これ俺だ…ナンデ!?

「いや、ええ?なんで?なんでマ・クベ?」

混乱して意味のないつぶやきを繰り返すが、勿論事態は好転するはずもなく、むしろ数秒後には悪化した。

「おはようございます大佐、朝食をお持ちしました」

聞きなれない電子音に続いて実直そうな声がドアフォンから流れる。どう対応するべきか悩んでいると、声の主が不審げに問いかけてきた。

「大佐、いかがなさいましたか」

「あ、ああ、すまない、体調が優れなくてな、今開ける」

そう言ってドアを開けると、これまた見たことがある顔が感情のこもらない表情でこちらに視線を向けていた。

「医師を手配いたしますか?」

顔の主、ウラガンはやはり感情のこもらない声で聞いてくる。

「ああ、いや、不要だ、ありがとう、下がっていいぞ」

「…は、失礼いたします」

そう言って無表情な副官を下げさせると、俺は盛大にため息をついた。

「一体、何がどうしてこうなった」




一礼し、部屋を辞したウラガンは足早に移動を開始すると、基地内でも閑散とした方向に足を向ける。無論こちらに用事は無いのだが、今はその人気が無い事が重要だった。

「ああ、私だ。すまないが何人か人を選抜してくれ、基準は基地内に居て不審に思われず、かつ閣下と面識が無い者だ」

何があったのか、それを決めるには情報が足りない。しかし彼は上官に何かがあったことを見抜いていたし、その事実に確信を持っていた。

「そうだ、監視目標は大佐ご本人だ」

問題が無ければそれに越したことは無い。だが何かあったなら。

「一度、キシリア様のお耳にも入れねばならんかもしれんな」

優秀な男の右腕もまた、優秀な男だった。




「さて、これからどうすべきか」

ワゴンに載っていた豪勢な食事を平らげ、少し落ち着いたところで考える。
これが夢ならいいのだが、ここまでの時間に感じたすべてが現実であると合唱している。
で、あるならば当然今後の事を決めねばならない。

「このままだとテキサスコロニーで死ぬか、いや、映画なら生存の可能性も…オリジンだったらどうしよう」

媒体によってブレがあるものの、マ・クベは大体良い終わり方をしない。
そもそもこのまま行けばたとえ生き残ってもジオンが負ければ軍事裁判待った無しである。

「ヤバイ、ロクな未来が思いつかん」

理想的なのは原作知識を活かしてジオンを勝利に導くことだが、はっきり言ってそんな才能は俺には無い。というか、その程度で覆るような戦局ならジオンは負けていないだろう。

「…とすれば、亡命か」

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