ハーメルン
起きたらマ・クベだったんだがジオンはもうダメかもしれない
第十八話:0079/05/22 マ・クベ(偽)と戦車
「聞けば随分な扱いだったようじゃないか。私がどうこうではなく、単に貴官が愛想を尽かされただけなのではないかね」
「貴様ぁ!本官を侮辱するか!」
ドヤ顔で言ってやれば、泡を飛ばして絶叫するアサクラ大佐。うわ、モニターに飛んでる、きたねえなあ。
「侮辱など、むしろこれは忠告だよ。部下を使い捨ての道具のように思っているようだが、少し自分の立ち位置も冷静に見つめてみた方が良い、存外体の良い捨て駒に自分も含まれているかもしれんよ?」
俺の言葉にあらん限りの罵倒を投げると、アサクラ大佐は一方的に通信を切った。やれやれ、あれで知恵者気取りとは恐れ入る。
アサクラ大佐は親ギレン派にもかかわらず突撃機動軍に籍を置き、大佐という立場にかかわらずコロニー奪取という極秘かつ重要な任務に従事している。加えて史実では決戦兵器であるコロニーレーザーの製造、運用を任されるなど、ギレンの腹心のような扱いだ。
だがしかし、そうだとすれば疑問が残る。まず腹心をキシリア派の突撃機動軍に入れる意図が不明瞭だ。キシリア様の監視や妨害なら、大佐という階級は不足だし、ただ単に手駒を送り込みたいだけなら、腹心を送る必要は無い。
そこから考えられる仮説だが、多分アサクラはギレンにとっての捨て駒なんだろう。キシリア派に送り込んでいるのは、おそらく何かあったときに他の派閥の人間として切り捨てるためだろう。そうであれば、機密になるような重要な任務を任せられるのに、他派閥に組み込まれ、しかも階級が低いことも頷ける。それに…。
「感情的で短絡的、かつ自己保身の為には外聞など気にしない。切り捨てても全く痛くない人材だからな」
通信の切れたモニターに向かい呟く。悪意だけで向かってくる相手に慈悲をやれるほど、俺は出来た人間ではないのだ。
[9]前
[1]後書き
最初
最後
[5]目次
[3]栞
現在:4/4
[6]トップ
/
[8]マイページ
小説検索
/
ランキング
利用規約
/
FAQ
/
運営情報
取扱説明書
/
プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク