ハーメルン
起きたらマ・クベだったんだがジオンはもうダメかもしれない
第七話:0079/04/29 マ・クベ(偽)と青いアレ


「何か補給状況で確認したいことがある、とのことですが」

「ああ、補給計画の件か、なら直接話した方が早いな」

書類のやりとりで済ませてしまいたいが、避けていると勘ぐられたりしては、後で何をされるかわからない。ここは丁寧に応対し、厄介事はさっさと済ませてしまおう。そう考えてミハエルは通信モニターのスイッチを入れた。

「お忙しい所申し訳ない。対応感謝するよ、ミハエル大佐」

「いえ、マ大佐も息災のようでなにより。本日はどのような用件です?」

フレンドリーさを演出したいのだろうか。猫なで声で話すマ大佐に言いようのない悪寒を感じながら、ミハエルは引きつりそうになる表情筋を懸命に制御し、笑顔で対応する。

「ちょっと気になったことがあってね、MSの補給に関する件なんだが」

「MSですか?」

先日提出された攻勢計画修正案に関する件だと考えていたミハエルは疑問に思ったが、そういえば会議の前後で軍令部からMSの件で叱責を受けたことを思い出す。
オデッサに送ったMSが故障だか損傷していただかで、目の前の男がキシリア少将に直接文句を言ったらしい。叱責を受けた軍令部の上司が輸送の際に不手際があったことにしたかったらしく、こちらにネチネチと嫌みを言ってきたのだ。その事に対する苦情だろうか?そう考えたミハエルは思わず顔をこわばらせる。

「うん、前線で運用しているグフについてなんだがね」

「は?はあ」

話が見えず、間抜けな返事をしてしまう。

「配備数と直近の補給状況を知りたいんだ。出来れば陳情の上がっている部品毎の詳細と、比較用にザクの資料があると助かるんだが」

「はあ、それくらいならすぐにでも用意しますが、一体どうしたんです?」

「ちょっとした罪滅ぼしをしようかと。すまないね、この借りはいずれ返させてもらうよ」

「壺なら十分頂いていますよ」

そう言って苦笑を浮かべながら視線を棚に送る。便宜を図ってくれたお礼、と称して何度も送られてきた壺で棚の上は一杯になっていた。尤も、ミハエルには壺の値打ちは解らないし、便宜を図ったのも自分では無く上司の命令なので、もらっても困ると言うのが本音なのだが。
その言葉に、マ大佐は一瞬考え込むと、朗らかな顔でこう返してきた。

「解った、次は皿にするよ。伊万里の良いのが手に入ったんだ」

違う、そうじゃない。
否定の言葉を言う前に、礼と共に通信は切られていた。

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