第9話 配信、序盤ポケモン達とモンスターボール
「はい、皆さんこんばんは。シロです。事前の告知通り、今日はお絵描き配信メインでいきますよ」
東郷お爺ちゃんとアイドルネキとの話し合いから丸一日後。アイドルネキの迎えが明日に迫った夜、私は配信者として自分の机に着いていた。
手元にはいつもの道具達。そして視線を動かせば……シロ民達の声がある。
『わこつ』『初見』『待ってた』『初見』『ワイも初見』『俺古参』『船の上で見る配信も案外いいわねー』
「はい、わこつです。初見さんはゆっくりしていって下さいね」
各コメントに反応しつつ、視界に捉えたアイドルネキらしきコメから予定は順調らしい事を感じる。とはいえ配信中に話す話題でもないからスルーするしかないが。
さて。
「今日はポケモンを二匹と、風景画を一枚書こうと思います」
私はそう言いつつ手先を動かし、ポケモンを描いていく。頭に思い浮かべるのはポッポと同じ序盤鳥にも数えられる事のあるポケモン、オニスズメだ。
オニスズメを選んだ理由は主に2つ。先日描いたのがポッポだという事と、オニスズメがカントー地方で比較的生息数の多いポケモンだと推測できる事。つまり、私の推測通りポケモンが現実に現れたのならば、人々が最初に遭遇する可能性の高いポケモンだからだ。
「ちなみに今日書くポケモンは、カントー地方でよく見かけるポケモンなんですよ。良かったら覚えて行って下さいね」
そういう理由から選んだので当然こういう押し付けがましい事も言う。普段なら言っても疎外感しか感じれないから、絶対に言わない言葉なのだが……
『OK!』『なるほど、今日はそういうチョイスか』『まぁ、そうなるな』『むしろ有り難い?』『遠回しに備えろと……関東民は聞いてるな?』『聞いてる。有り難い』『関東活動部隊向けの内容になりそうだ』
どうやらシロ民は概ね察してくれているようだ。関東で活動する有志の協力者達の助けとなればいいのだが……
問題は。
『んんー予備知識いる感じかな』『カントー?』『ポケモン?』『あー、初見連中は混乱しかないか』『コメで補足してやるから読め、聞け、絶対損はしないから』『りょ』『ハードル高いのか低いのか分からんなw』
初見の人達は置いてけぼりだと覚悟していたのだが、シロ民達が有能で助かった。これで初見の人達にも伝える事が出来そうだ。今は少しでもポケモン知識を持つ人を増やしておきたいからな。
さて、そうこうしている内にも手はオニスズメを描き続け、まだ完成には遠いがオニスズメだと判断出来る程度には描き上がっていた。鋭い目付きに赤く小さな翼。我ながら、なかなか躍動感あるオニスズメが描けたと思う。……後で背景を付けてサイトに上げておくか。
『上手いな』『鳥?』『てか描くの早い』『まぁ、鳥だな』『オニスズメか。確かに出てきそうだ』『俺、ポッポも好きだけどオニスズメも好きなんだよな……』『浮気はよくないぞ』『ナイスボート』
どうやら古参の人は概ねオニスズメの事を知っている様だ。そこそこ描いてるから不思議ではないのだが、覚えて貰えていると実感出来るのは嬉しい。刺されている人は……放っておこう。
『ナンバー21、オニスズメ。ことりポケモン。タイプ、ノーマル、ひこう。全長30センチ。鳥型のポケモンではあるが、羽が小さい為に飛ぶのは苦手。ナワバリ意識が強く、ポッポに比べて好戦的。食欲旺盛でむしポケモンを襲う事もある』
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