ハーメルン
ポケットモンスター 侵食される現代世界
第15話 政界への第一撃

 私がポチをゲットした十数分後。私はユウカさんと共に何だか見慣れてきてしまったリムジンの中に居た。ポチはボールの中に居て貰うか悩んだが……そこにいると分かっていても、姿が見えないというのは案外不安を煽るものだったので、外に出て貰っている。サトシのピカチュウスタイルだな。
 ちなみにビルに居たシロ民とは結局一言も話さないまま別れた。私は何と言えば良いのか分からなかったし……恐らく、あちらも同じだったのではないだろうか? 何だか私を見て呆気に取られた風だったし。

「━━えぇ、分かったわ。では、この後も引き続き彼らと行動を共にして。以上よ。……シロちゃん。お祖父様の所にはもう既にモンスターボールの現物と、きのみに関する論文が届いているみたい。特にきのみの論文は著者自らが説明に来ていて、たった今別荘を後にしたそうよ」
「なるほど……」

 ユウカさんからの報告を聞いた私は、流れが自分に来ている事を察した。元総理がどの様な人物かは不明だが、例え堅物だったとしても何かが起きている事は把握したはずだ。ならば後はポチをモンスターボールに出し入れしたり、私自身が説明すれば……きっと、分かってくれるはず。大丈夫、大丈夫のはずだ。

「シロちゃん?」
「……何ですか?」
「緊張……してる?」
「緊張。……いえ、緊張はしてません」

 そうだ。緊張はしていない。今私の頭をかき乱しているこれは……不安。それと喜びだ。
 当たり前だろう。失敗すれば全てが駄目になるどころか、ポケモンと人とのファーストコンタクトが失敗し、戦争になる可能性すらあるのだ。不安にならないはずがない。
 しかしまた同時に喜びもあるのは……ポケモンを知る人が増えるからだ。ポケモンバトルも、コンテストも、語り合うのも、1人では出来ないのだから。それらは2人、3人と居て初めて出来て、多ければ多い程良いのだ。私とシロ民以外の人にポケモンを知って貰える千載一遇の好機……見逃す手はなく、喜ばざるを得ない。

「そう。……もしかして、嬉しい?」
「分かり、ますか?」
「何となくだけどね。何時もと違って、目が輝いていたから」

 目、目か。それはどうにもならないな。普段は死んでいる私でも、現実にポケモンと触れ合えるとくれば……輝かざるを得ないだろうし。

「━━っと、到着したわね。……覚悟は良い? シロちゃん?」
「はい。大丈夫です」

 やろう。賽の目がどう出るかは分からないが、ここで止まる事だけは有り得ないのだから。そして私の全力を持って、ポケモンの事を分かって貰おう。そうすれば、きっと。

 そんな思いを胸に私はポチをボールに戻し、ユウカさんにに連れられて車の外に出る。そして私を迎えたのは立派な日本家屋……故郷にあるそれらよりも遥かに立派なそれだった。

「さ、お祖父様は既に待っているわ。行きましょう?」
「……はい」

 一瞬飲まれかけたが、ユウカさんに声を掛けられて私は歩き出す。
 門をくぐり、石畳の上を歩き、屋敷の中へと入っていく。勝手知ったる様子のお嬢様スタイルなユウカさんの後をコソコソと歩きつつ、私はひっそりとユウカさんの選んだ服に感謝していた。
 何せこんな立派な屋敷の中で芋芋しいジャージなんて来ていたらそれこそ萎縮してしまう。ユウカさんが選んだお嬢様スタイルな服を来ているからこそ、軽く小さくなる程度ですんでいるのだ。とはいえ、このお嬢様スタイルに違和感があるのも事実だが。

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