ハーメルン
ポケットモンスター 侵食される現代世界
第3話 検証、オレンの実


 コメント欄はどんどん信じる者が増えている様だ。預言者云々は……今は脇に置いておこう。チーゴやナナシも恐らくポケモンのソレ。とはいえ検証は必要だし、手に入れておくべきか。……これでやれる事は全部か? 他に何か出来る事は──そうだ。栽培。

『今日の検証はここまでにしましょう。取り敢えずオレンの実は本物、という事で。そして明日は本物だと思われるオレンで栽培を試みようと思います。興味のある方は各自で栽培に挑戦してくれますか? その後このスレで報告し合う……というのはどうでしょう?』

『ok』『任せろ!』『りょ』『賛成』『オレンって栽培できた? 時間かからない?』『確かだいたい半日で育つし、一個から二、三個生るはず。詳しくはウェキな』『水やりとか肥料は?』『あるに越した事はないが無くても育つはず。ウェキ見ろ』『ヤベェなオレンの実』『よし、今から植えて来る。庭で良いよな?』『良いんじゃね? 割りとどこでも育つっぽいし』『家に庭無いんだけど……』『近所の公園の端っこにでも植えてろ』『それだ!』『そして不審者として職務質問されるんですね分かります』

『では、宜しくお願いしますね。私は落ちます』

『乙』『お疲れ様』『おやすみ』『任せとけ! バリバリー』『やめて!』『シロちゃんおやすみー』

「ふぅ……」

 スレから出てパソコンの電源を落とした私は、深めに息を吐いて肩の力を抜く。
 だが、心はちっとも落ち着かない。急く様な気持ちは強くなった。……当たり前か。

「これが、本物……か」

 オレンを手に眺めながら、そうポツリと呟く。
 この世界にポケモンは居なかった。だが、今、こうしてオレンの実は現れた。ならば……今は居ないポケモン達も、やがて現れるのでは? そんな突飛な考えは、頭にこびりついて離れない。それどころか確信だけが強くなる。彼らが、ポケモン達が、近づいていると。

「考え過ぎ、かな。…………寝よう」

 果たして考え過ぎなのかどうなのか。それもやがて分かるだろう。そう思いを蹴り飛ばし、オレンの実を机の上に戻して布団に潜り込む。
 私が寝付けたのは、それからかなりの時間が過ぎた後だった。

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