ハーメルン
ポケットモンスター 侵食される現代世界
第5話 関東へ向かうべきはいつか?


 いや、居た。これは、アイドルネキか。彼女は確か……いや、今は。

『アイドルネキ、どこで見たんですか?』

『えっとね、えっとね……ちょっと待ってね』『ほらアイドルネキ、シロちゃんが期待しとるぞ』『スッゴい期待してるよ(たぶん)』『頑張れ頑張れはーと』『シロちゃんからすれば長年の夢みたいなモンだろうしなぁ』
『思い出した! じいちゃんの部屋だ! ちょっと行ってくる!』
『いてら』『いてら』『いて……待て、アイドルネキのじいちゃんって確か……』『元総理やな。けっこう前だけど』『その部屋で見たって……大丈夫なん? 機密だったりしない?』『たとえ機密だろうと、問題なくね? アイドルネキは身内だし、ヤバイなら黙っとく様に言うだろ。つか、俺らが知ってるから機密もクソもない気が……』『つまりさすシロ』『さすシロ』

「そういえば、そうだった。アイドルネキは政界に繋がりがあったんだった」

 気安い感じなので失念していたが、彼女は中々に大物だった。現役の女優にしてアイドル。祖父はかつて総理の座まで上り詰めた御仁……始めるなら、彼女からになるか。
 いや、今はオボンの実だ。先ずはあのきのみが出現したかどうかを確かめる必要がある。もし現実に現れてないなら急ぐ必要は無く、しかし現れているのなら急ぐ必要があるのだ。恐らく、きのみの出現はナンバー10が一つの区切りだろうから。

『あった、あったよー。じいちゃんの机の上の書類に書いてあった。関東地方の、ザボン? を作ってる農家さんのところで確認されたらしいよ。まだ個数は少ないって書いてある。書類の日付は三日前だから、実際に現れたのは四、五日前じゃないかな?』

「っ! ……近づいてる。間違いなく」

 彼女が書き込んだ情報が確かならば、恐らく次に来るのはナンバー11か、あるいは『ポケモン』だ。……いや、ひょっとしたら同タイミングか? どちらにせよ、足音は近づいている。もうすぐそこまで。

『オボンまで現実に、か』『オレンの三倍の力を持つオボンが現れたのか』『色は赤色だな(違う)』
『なぁ、これそろそろ来るんじゃないのか?』『何がだよ』『ポケモンだよ! オボンより先のきのみってかなり特殊だし、それにこうなるとポケモン本体が出て来てもおかしくないだろ』『それは……』『確かに』『きのみが来たならポケモンも、か』『分からないでもないけど……ちょっと、なぁ?』『あぁ、流石に考え難い』『いや、逆にもう現れてるんじゃないのか?』『!?』『!?』『なん……だと……!?』

「━━ッ!」

 スレに書き込まれた可能性。それは私も考えていた可能性だ。……しかし、可能性は可能性でしかない。もし違ったら? もしきのみだけしか来なかったら? もし私の勘違いなら? 私は二度と立ち直れまい。
 ━━だが、もう足踏みなんてしてられない。彼らが来る。それはもう殆んど確信なのだ。そして最初にどこに現れるかも分かっている。ならば。ならば!

『関東に、私は関東に向かおうと思います。もしポケモンが現れるならば、最初の場所は、関東です』

『!?』『!?!?』『シロちゃんが、動く!?』『オイオイオイ、え? マジ?』『そうか、ポケモン最初の地方。カントー地方は、関東地方が元ネタだったな』『シロちゃんが、関東に……』『良かったな。関東民。合法的にシロちゃんに会えるぞ。会えるぞ……!(非関東民)』『憐れな……』『泣けよ』『。・゜゜(ノД`)』

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