第13話 異世界のレベルが地上よりは確実に弱い件 -10-
燦嘹朱爀side
一人の青年と青年を乗せた白神竜は超高速で空を駆けていた。いや、何かから逃げていると行った方がいいだろうか?
彼らの背後には、彼らが通った0.1秒後に緑の閃光が上から下にかけて通り抜けたり、逆に下から上にかけて通り抜けていた。
そう、彼らは最速相手に数時間逃げ切っていたのだ。しかし、彼らは既にボロボロ。
あと数分後には緑の閃光にピチュんされてもおかしくないだろう。
「ちっ、英雄とほざいたと思えばイレギュラー以上の化け物とは……ウラノス、一か八かだが……賭けてみるしかない。いいか…………」
彼らは何かをコソコソと話しながらも必死に逃げていた。
追っている方はと言うと、
「フハハハハハハハハッ!!!!!!!!!!!!どうした!?貴様等はその程度なのか!?だったらその術技や頭脳はただのお飾りか!?」
戦いそのものを楽しんでいる節があった。それと同時に何かを待っている気がする。
「ッ………………今だ!!!!」
グルルゥ…………ウガアァァァァァァァァアッ!!!!!!!!!!!!
「ッな!?」
4、5回程通り抜け、再びアキレウスが登って来たら、ウラノスはフリードの指示通り直角に曲がり、このまま行けば正面衝突してしまう。そこに、ウラノスはブレスを思い切り吐き、アキレウスは戦車ごと呑み込まれた。
それで、緑の閃光に終止符を打つことができたが、未だに安心出来なかった。
「ッ…………舐ァァァめェェるゥゥなアァァァァ!!!!」
「何ッ!?」
ブレスを吐き終わったら、懸念通りなのかはたまた偶然考えが一致していたのか、ブレスの中から無傷のアキレウスが飛び出してきたのだ。
よく見たら、ブレスの通り過ぎたあとに空間に軽く亀裂があった。
恐らくブレスにぶつかる前に馬3頭と戦車を異空間に仕舞い、ブレスの中を生身で通り抜けたのだ。しかも無傷で、だ。
流石にこれは驚愕ものだろう。
当のアキレウスは槍の穂先をウラノスに向けて構えており、すれ違いざまに浅くだが、腹を切り裂かれた。
羽を数度羽ばたかせて勢いを殺して振り返ると、さらに驚くことがあった。
「ッ!?先程より速いだと!?」
そう、先程の緑の閃光より倍近い速さで3次元機動をしていたのだ。
しかし、疑問に思う事もある。
「……いや待て、ならば何故何も無い空中であの様な動きが出来る!?」
その真実を知る事はないが、アキレウスに足場はある。その足場とは、手のひらサイズのストラップ程の大きさをした剣を足場に多角機動をしているのだ。しかも、衝撃が強いため1度踏み込まれたそれらは崩壊しているので、足場がないように見えるだけだ。
フリードとウラノスには既にアキレウスの姿は見えず、目の前にはただの衝撃波による波しか見えていない。
逆にその波のお陰でどこにいるのかがわかるだけマシだろう。
「そろそろ時間なんでねぇ……トドメを刺してやる!」
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