第7話 異世界のレベルが地球よりは確実に弱い件 -4-
「──何もかも、消えちまえ」
その瞬間、世界を否定する概念が解き放たれた。
その瞬間、南雲を組み伏せていた三人の使徒がボバッと音をさせて上下に両断された。そして、その直後には、更に左右、上下、左右と寸断されていき、数秒もかからずに木っ端微塵になってしまった。
刃などなく、あったとしても切断されたというよりは線状に霧散させられたというべき不可解な現象。誰もが絶句し、大きく目を見開いたまま動けずにいる中、轟ッと魔力が噴き上がった。
「流石に……此奴は、やべぇ……ッ!!!!」
南雲のこの状態には流石の俺も、俺以外が確実に殺されるのを幻視した。が、俺は半気絶状態……身体が弛緩して動かず上手く力を出せない。誰か俺を起こしてくれ。自分のしたいことでアタランテやクラスメイト達をおざなりにしたくないんだ。今ならまだ間に合うはず。気絶から覚まさせるか、上に乗ってるものを除けてくれ。俺はそう心の中で思った。
燦嘹朱爀side out
────────────────────────
第三者side
その間に南雲ハジメを中心に逆巻く奔流、しかし、いつもの鮮やかな紅くれないとはかけ離れた、血色の如き毒々しい暗赤色。それもまた、尋常ならざる事態であることを、謁見の間にいる全ての者達へ、否応なく伝える。
そんな中、南雲ハジメが、ゆらりと立ち上がった。血の気の失せた幽鬼の如き青白い顔で、使徒よりも余程無機質な表情を晒しながら、ボタリ、ボタリと血を滴らせて……
すぐ傍にいたミュウが、局所的な嵐のような暗赤色の魔力流に対し、手で顔を庇いながら「きゃあっ」と小さく悲鳴を上げる。そのまま、後ろに吹き飛ばされるかと思われたが、直後、足元の床が霧散するように崩れ去りミュウを落とし込んだ。
「ふ、ふん、無駄なことを。アルヴヘイトの名において命ずる、“跪――ッ、ぁっ、ィギ、ぁぁあああああああっ!!」
アルヴヘイトが、どうにか精神を立て直し、“神言”をもって南雲ハジメを制しようとしたようだが、その命令が言い終わる前に、何の前触れもなく、アルヴヘイトの両腕が肩からすっぱりと切断されてしまった。
額を撃たれても、どういうわけか平然としており、四肢を撃ち抜かれても悲鳴一つ上げないどころか瞬時に回復していたアルヴヘイトが、激痛に表情を歪めながら絶叫を上げる。
その瞳には、苦痛だけでなく強い困惑の色が浮かんでいた。自分が、激痛を感じるようなダメージを負った理由が全く理解できなかったのだ。
切り取られたアルヴヘイトの両腕は、切断された勢いで空中をくるりくるりと舞う。そして、次の瞬間には、先の使徒達と同じようにボバッと音を立てて細切れとなり、そのまま塵も残さず消滅してしまった。
「な、なにがっ。なにが起きている!?いったい、これはっ」
「アルヴヘイト様。お下がりください。極細の糸……いえ、鎖のようなものが宙を舞っております。あれに触れると防御を無視して切断、消滅させられるようです」
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/11
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク