ハーメルン
ギレンの野望(笑)
1話 UC0068年2月

ジオン共和国中央病院VIPルーム

「知らない天井だ……」

などとお約束のセリフを言いながら寝ていたベッドから身を起こしてみる。
自分に繋がっている検査機器や点滴を見る限り病室のようなのだが…ここはいったい何処だ?

俺の記憶が確かなら今日は久しぶりの休日で映画館へオリジンを見に行った帰りに、戦場の絆で馴染みの連中と連邦の連中を蹴散らして電車で帰る途中だったはずなのだが…。いや、そういえば電車でもの凄い衝撃を受けたような気もするが、どうにも上手く思い出せない。

「あいててて…? ん?なんだ?」

よく見れば体のあちこちに包帯が巻かれており、かなりの重症のようだ。だがそんな怪我の痛み以上に、まるで他人の体に入ったかのように大きな違和感がある。
あまりの違和感の大きさに鏡を探して覗きこんでみれば、そこには見慣れた自分以外の人物の姿があった。

「…え?」

そう。ジオン公国の総帥にして、人類史上最大の虐殺者となるギレン・ザビの顔が。

「まさか…俺がギレンになったとでもいうのか?!」

ギレンの野望を史上最高のゲームと思っており、かつ熱烈なジオニストである俺にとってギレン・ザビはガンダムの中で一、二を争う程大好きなキャラではある。
だが、自分がギレンになってやっていけるかと問われれば無理だと答える自信がある。
何故なら30倍以上の国力を持つ地球連邦を相手に喧嘩を売り、それに勝つためとはいえコロニーを地球に落として人類の半分を虐殺すなど豆腐メンタルなガンオタである俺には不可能だからだ。

鏡に映った自分の姿に呆然としていると、突然頭の中に膨大な記憶が流れ込んできた。
どうやらその記憶は本来の体の持ち主である『ギレン・ザビ』のものであり、その記憶が正しければ今はUC0068年でジオン・ズム・ダイクンが死亡した直後のようだ。
あまりの事態に呆然としていると、突然部屋のドアが開き、そこから嵐のような勢いで大男が入ってきた。

「意識が戻ったのか?!兄貴!!」

顔に傷はないがあのゴリラのような顔はガンダム好きなら間違えようがない。

「貴様は…ドズルか?」

「そうだ!兄貴。兄貴は議事堂から帰る時に爆弾テロにあい意識を失っていたんだ。医者は頭部に強い衝撃を受けているので脳に異常があるかもしれないと言っていたが…。傷は大丈夫か?」

…どうやらサスロが死亡した爆弾テロに代わりに巻き込まれたようだ…。
体の傷は痛みはあるが動けない程ではない。だが…

「ウム…。傷の痛みはそれほどでもないが記憶が一部欠落しているようだ。
上手く思い出せないことが色々とある。それ以外は特に問題ないようだな。」

せっかくなので記憶に欠落ができたことにしてボロ隠しできるようにしておこう。

「そうか…。今はサスロ兄が爆弾テロの主犯がラル家に見えるよう動いてくれている。だから兄貴はここでゆっくりと傷を癒してくれ!何か必要なものはあるか?」

「そうだな…自由に動けないので誰か身の回りの世話をしてくれる人を寄越して貰えると助かる。」

「身の回りの世話をする使用人の手配だな!わかった!任せてくれ!」

本当に欲しいのは安心して色々と相談できる相手だが、このままでは日常生活すら難しいので、まずは身の回りの世話をしてくれる人をお願いしてみた。…て言うかギレンの愛人のセシリアさんに来てもらえばよくね?

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