10話 UC0070年2月
サイド3 ジオ・マッド社研究所
やあ…諸君。新年あけましておめでとう。ギレン・ザビである。
キシリアが五月蝿かったので正月にはメイを連れてデギンの所に挨拶に行ってきた。
初めは難しそうな顔をしていたデギンだったが、メイが
「ギレンさん…。いえ。お父さんには施設で苦しんでいる所を助けて貰いました。おじいちゃん。どうかこれからよろしくお願いします!」
と呼ぶと、おじいちゃんと呼ばれたデギンはまんざらでもなさそうな顔をしていた。
まあデギンはガルマにはベタ甘だからガルマと同じくらいの歳の女の子にはおじいちゃんと呼ばれれば甘い顔をするだろうと思っていた。
ガルマにもデギンと会う前にこっそり話をして、
「ザビ家の男たるもの女性には優しくあらねばならんぞ。」とささやいておいたので
「やぁ。メイ。これからは僕とも仲良くしてくれ。」
と精一杯紳士的に振る舞っていた。ふっチョロい。
さて、今日は前にミノフスキー博士に依頼していた小型核融合炉が完成したとの連絡を受けてメイと一緒にジオ・マッド社の研究所に来ていた。
「すごい。すごい。これがモビルワーカー!?」
原作と同じように機械関係に興味津々なメイと俺をミノフスキー博士が案内してくれていた。
「これはその初期型でYMS-02モビルワーカー01式と言います。主に月面やアステロイドベルトを開発するための人型作業機械として開発されました。」
「ねえねえおじさん。これ触っても良い?」
「こらメイ。ミノフスキー博士をおじさん呼ばわりするものではない。」
「ははは。おじさんで構いませんよ。好きに触って貰って構いませんが、動力炉のスイッチだけは入れないよう気をつけてください。」
「はーい!」
メイが元気にコクピットに潜り込んでいくとミノフスキー博士が現在の開発状況について報告してきた。
「現在開発中の後期型では落盤等の事故からパイロットを保護するために、コックピット周りに装甲を配置し安全性を確保できるように改良する他、腕部マニピュレーターをアタッチメント交換によってさまざまな作業パーツに換装できるようにする予定です。」
「ふむ。鉱山開発等ではそれなりに使えるようになってきたか。後期型についてはある程度形になったら量産し月面開発に投入してデータ収集に入れ。」
「わかりました。…。しかし開発を秘匿しなくてもよろしいのですか?」
「まだ、その段階ではない。むしろ大々的に作業用機械を造っている事をアピールするべきだ。」
隠せば隠すほど人は知りたがるものだし、連邦の情報部は優秀だ。全てを隠しきれるはずがない。であるなら流して問題ない情報は逆に出来るだけ多く流して混乱させるべきだ。
「先日話したYMS-03 ヴァッフの開発についてはどうなっている?」
「最大の懸念となる動力用融合炉の小型化については既に完了していますので現在は流体パルスシステムを応用した駆動系の開発に入っています。此方も完成の目処がたっておりますので試作機が完成する日もそう遠くはないでしょう。」
「そうか…。ヴァッフについても同様に目処がつき次第デブリ回収やコロニーの整備等に投入しデータ収集に入れ。只、此方は動力系をバッテリー方式に変えてからテスト運用に入り、小型核融合炉の情報が漏れる事はないよう注意せよ。」
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