17話 UC0072年10月
サイド3宙域 ムサイ級巡洋艦「ニャメル」
やあ…諸君。ギレン・ザビである。
今日はザクをベースとしたMS開発のために設立した実験部隊の視察に来ている。
ジオンの絆の上位ランカーとジオン軍から俺がスカウトしてきた人材で構成されており、将来的には俺の手足となって色々働いて貰う予定だ。
今日は視察という事もあり、サイド3近郊の暗礁宙域でザクの運用データを収集に来ていた。
「ギレン閣下。準備はよろしいですかい?」
「ああ、シーマ大尉か。世話をかけるな。」
「いえ、とんでもない。アタシらマハルのごろつきを親衛隊に呼んで頂いたご恩返しが出来るなら、足くらいいくらでもさせて貰います。」
「ふん。貴様の事は貴様以上に知っているつもりだが?私が求めているのは腕と度胸のある兵であり、貴様らはそれに応える力を持っている。それを誇るが良い。」
パイロットの他にも、指揮官として高い能力をもち外交までこなせるであろうシーマ様を紫婆の所で遊ばせておく余裕などないのだ。何気に義理堅い所あるし。
「へ?…。そ、それは…。ありがとうございます。」
「ウム。それではテストを開始してくれ。」
「はい。それでは模擬戦を始めます。テスト機、出撃しな!」
「エリック・マンスフィールド、出撃する。」
「エーリヒ・ハルトマン。ザク出るぞ!」
ムサイのカタパルトが起動し艦の前方に2機のザクが射出されていく。やはり設計を変更させて既存のMSデッキの左右にカタパルトを備えたデッキを増設したのは正解だったようだ。
発艦した2機のザクはムサイから距離をとると互いにスラスターを発光させ模擬戦を開始した。
「ほう。ザクはヴァッフに比べて機動性や運動性が低下していると聞いたがよく動くな。」
「はい。マンスフィールド機には試作されたばかりの木星エンジンを、ハルトマン機にはMS用OSのβ版を搭載していますので。」
「木星エンジンだと?強度は大丈夫なのか!?」
それって確かヅダを空中分解させたやつだよね??
「?はい。初期は問題もあったらしいですがジオニック社側の技術者の協力で現時点ではとくに問題ないと聞いとりますが…?」
「ふむ…。今回はあくまでも模擬戦である。両機にあまり機体に無理をさせないよう伝えろ。」
「畏まりました。」
大丈夫だとは思うが公的飛行試験中に空中分解でもされたらたまらんからな…。
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side
エリック・マンスフィールド
ハルトマンの機体から連続して放たれたザク・バズーカの砲弾を俺は自機が構えたザク・マシンガンの弾幕で迎撃する。ばら撒かれた弾丸がザク・バズーカの砲弾をとらえ、宇宙にCGの火の玉が出現し俺の視界を奪う。やがて晴れてきた爆炎の向こうで何かが光ったのを見て咄嗟に突きだしたシールドに爆炎を突き抜けて現れたザク・マシンガンの弾丸が突き刺さる。
「先手を許すとはっ…。!」
相手に先手を許した事に思わず舌打ちしながら此方もザク・マシンガンを相手に向けて連射する。バズーカとマシンガンを両手に持っており、両手が塞がっているハルトマン機であるが機体後方から伸びてきたサブアームがシールドを掲げ此方の射線を遮ってきた。
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