20話 UC0074年2月
サイド3宙域 グワダン級超大型戦艦「グワダン」
やあ…諸君。新年あけましておめでとう。ギレン・ザビである。
今日は先日完成したYMS-05ヅダの評価試験のために、同じく完成したばかりのグワダンの試験航海も兼ねてサイド3宙域へ来ている。
グワダンは単艦でも艦隊クラスの戦闘能力を有することをコンセプトとした超大型戦艦である。そのサイズは全長700mとガンダム史上でも有数の超大型艦であるが、アステロイドベルトへの惑星間航行船として開発された経緯から航行能力と居住性に性能を割いている部分があるため、火力については連装メガ粒子主砲×2、連装メガ粒子副砲×10、単装メガ粒子砲×4と大きさの割には控えめである。
一方MS運用能力については艦体上部にMS2機を同時に射出できるカタパルトが2基、下部にはMSを任意の方向に射出させることのできるMSランチャーを備えており、100機近い搭載可能数と相まって極めて高い。
まあ火力が控えめと言っても副砲ですら連邦のマゼラン級を上回る威力を持っているため、地球圏に置いておくと連邦が五月蝿そうなので、今回の航行が終わったら早速アステロイドベルトに向け出発する予定である。
ククク…この船に刺激されて連邦の大艦巨砲主義が加速するといいのだが。
さて、今日の主役はこのグワダンではなくYMS-05 ヅダである。
本来の歴史であれば来年行われるコンペティションでジオニック社の「ザクⅠ」と正式採用を賭けて争い、その圧倒的な機動性によりザクⅠを圧倒するもテスト中に機体が空中分解を起こし不採用となった悲運の機体である。
まあ今回の機体はそもそもザクⅠをベースに開発しているし、ジオニック社の技術者も協力しているので耐久性に心配はない。
機体のフレームを兼ねるモノコック構造の装甲を大幅に強化し、改良型土星エンジンを両肩部に搭載する事で重装甲と高機動性を両立した。
兵装面は長距離狙撃能力を持つ大型対艦ライフルと円型のシールド、それにマゼラン級の装甲をも破壊可能なヒートソードを採用している。
また、頭部には中世ヨーロッパの騎士をモチーフとしたフェイスカバーが取り付けられており、機体サイズは原型となったザクⅠよりも一回り大型化する事となった。
…要するに量産型のトールギスといった感じだ。
無論トールギス程の圧倒的な火力と装甲がある訳ではないが、それでもザクⅠの三倍近い機動性を発揮する事ができる。
「準備はいいかな?デュバル大尉」
「無論です。ギレン閣下。ジオンの栄光をヅダに!」
そう言うとヅダは腰を落としてカタパルトの上で射出姿勢をとる。
「ジャン・リュック・デュバル。ヅダ。出るぞ!」
そう言うとヅダの蒼い機体は真空の宇宙に吸い込まれていった…。
一一一一一一一一一一一一
side
ジャン・リュック・デュバル
カタパルトで射出されたヅダは漆黒の宇宙を切り裂いて進む。初めて試作機に乗った時に聞こえたあまりの加速により発生する機体の軋み音は全くない。もはや過去のヅダとは違う機体と言っても過言ではないのだ。
そのような事を考えていると2個小隊6機のザクⅠが目の前に姿を現す。1対6とは少しばかり数に差があるがこのヅダが相手であればまあ妥当な所だろう。
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