34話 UC0079年2月 第一次降下作戦
オデッサ上空 旗艦グワダン
南極条約が締結された翌日のUC0079年2月1日、ジオン公国は南極条約に盛り込まれた大都市への無差別攻撃禁止条項を理由に、ベルファスト、ニューヤーク、キャリフォルニア、ハワイ、ペキン等の大都市近郊に存在する連邦軍基地からの連邦軍の退去を要求する。
同時にこの要求が認められない場合、マスドライバーによる連邦軍基地への直接攻撃を実施するとの警告を発するとともに、ソロモンやジオン本国から大量のHLVを地球軌道に向けて発進させた。
一方ジオンの要求を飲むことなど不可能な連邦は、それぞれの基地に地対宙ミサイルや地対宙レールガンを集中配備しマスドライバーによる攻撃に備えるとともに、ジオン軍の降下を警戒し各地から軍を集結させ迎撃の準備を急いだ。
ただ、これらジオンの動きは全てオデッサ攻略に向けた壮大な陽動作戦であった。
コロニー落としによる被害の無い連邦には膨大な地上戦力が無傷で残っており、そこに降下する事はかなりの抵抗が予想されていた。
そのためジオン側はマスドライバー攻撃の宣言とHLVを集結させる事で連邦の戦力を大都市圏に集結させ、それ以外の場所の戦力を低下させる事に成功した。
特に人口密度の高くない鉱工業地帯などは、駐屯していた兵力のかなりの数が大都市の防衛に移動させられたため大幅に戦力が低下していた。
UC0079年2月14日2200
ジオン軍は月面のマスドライバーにより連邦基地への直接攻撃を開始する。ミノフスキー粒子の濃度が高くなかった事や事前に準備を整えていた事もあり、連邦軍はマスドライバーにより発射された質量弾の迎撃に成功する。
だがこの攻撃も陽動作戦の一部であり、月面のマスドライバーとアクシズ宙域に集結したHLV群に意識を集中させていた連邦軍は、秘密裏にオデッサへの降下軌道に集結していたジオン艦隊に全く気がついていなかった。
UC0079年2月15日0400
グワダンとザンジバル級12隻で構成された降下部隊の第一陣はオデッサに向け降下を開始する。
いわゆる地球侵攻作戦の始まりであった…。
やあ…諸君。ギレン・ザビである。
南極での休戦条約交渉に失敗した以上、地上での戦いは避けられないものとなっていた。
延々とマスドライバーで隕石の雨を降らして連邦軍を撃破する案もあったが、その作戦ではどうしても民間人にも大量の死傷者が発生してしまい、また地球環境にも絶大な悪影響が出る事で休戦に向けた道筋が完全に消えてしまう可能性がある事から、致し方なく原作同様に地球侵攻作戦の準備を進めていた。
狙うのは大量の鉱物資源を埋蔵する中央アジアの要オデッサである。
「ギレン閣下!」
「どうした。デラーズ」
「本艦を含め作戦に参加する全ての艦艇が予定していたポイントに到達致しました!」
「よかろう…。全軍に戦闘開始命令を出せ。」
「はっ!」
グワダンがバリュートを展開し地球に向けて降下を開始する。
原作とは違いミノフスキークラフトを搭載しているので理論上は地上でも問題なく飛行できるハズだが、もし機能しなければこれで宇宙も見納めだな…。
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side
ハンス=ウルリッヒ・ルーデル
子供の頃に母からパラシュート降下する男のショーの話を聞いて私は「飛行機の操縦士になろう!」と決意した。
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