5話 UC0068年11月
サイド3 ギレン邸
やあ…諸君。ギレン・ザビである。
初めて自宅から挨拶するがこの宇宙世紀に何で貴族風の邸宅なんだろうね?正直、非経済的だと思うのだが…。
まあアイナが甲斐甲斐しく働いてくれるので快適な環境を満喫できるのは良いことだ。メイド服も似合っているぞアイナ。
さて退院して公務に復帰したものの、特段することがなかった。半年以上病院でゴロゴロしていたので基本的にどのプロジェクトも俺がいなくても問題なく回るようになってしまっていたのだ。
できたばかりのジオ・マッド社についても、ミノフスキー博士が技術顧問に就任しミノフスキー効果の実証実験に成功するなど順調な滑り出しを見せている。
このままでは本当に立場がなくなってしまいそうなので仕方なく新しいプロジェクトを立ち上げる事にした。
その名も木星圏開発計画である!
基本的に資源獲得競争は早い者勝ちである。なので連邦が出てくる前にさっさと木星圏をジオンの勢力下においておこうという計画である。只、木星圏迄進出できる艦艇がほとんどないようなので、ジオ・マッド社に木星圏まで余裕をもって進出可能な超大型戦艦の開発を命じるとともにグワダン級のイメージ図を送っておいた。
まあないものねだりをしても仕方ないので、当面はグワジン級の試験艦として建造されていたグワシズを旗艦として使い、火星と木星の間にあるアステロイドベルトの調査をおこなう事になった。
前人未到の領域の探索という言葉に一瞬心引かれたものの、高速艦で艦隊を揃えても片道8ヵ月はかかるという現実に衝撃を受けて大人しくサイド3に残る事にした。
ま、まあ総帥ともあろう者が一年以上本国をあける訳にはいかないから仕方ないね。
代わりに親衛隊から調査艦隊司令に抜擢したハゲのテンションがメッチャ高かったのできっと良い仕事をしてくれるだろう。
一応俺の記憶にあるアクシズ、ソロモン、ア・バオア・クーの形状を教え、そのような形の衛星があれば優先的に調べるように指示したので成果も上がりやすいだろう。
なお、ハゲとの会話はとても熱苦しかったので省略する。
あ、アイナ。何か冷たい飲み物をくれるかな。
一一一一一一一一一一一一
side
エギーユ・デラーズ
ギレン閣下の特命を受けて地球圏を立ち早くも1ヶ月が過ぎようとしている。我らジオンの魂の故郷であるサイド3のコロニーの大地は、もはや肉眼ではどこにあるかすらわからなくなっていた。
「デラーズ閣下!」
「む…ガトーか?」
「は!先程予定していた宙域に到達した為、まもなく第三次加速に入ります。そろそろブリッジへお戻りください。」
「ウム。ギレン閣下が艦隊を大型の高速艦で揃えて下さったお陰でわずか八ヶ月でアステロイドベルトまで到達できるとはな。」
「全くです。当初の計画では一年以上かかる計画だったとか。」
「ウム。今開発されている新型艦を使用する事で、今後は半年まで短縮する事も可能となるそうだ。すでに有力な資源衛星の候補を絞られていた事といい閣下の先見の明には恐れいる。」
「全くです。」
「ではゆくぞ。ガトー。新たなる栄光を我らが祖国にもたらす為に!」
「はっ!お供させて頂きます。閣下!」
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