手掛かりと視線はどちらに?
長かった船旅もやっと終わって日本に到着。長かったぁ……流石に一週間も船の上だと体も鈍るな。グッと体を伸ばして骨をポキポキと鳴らす。
「んー……やっと地に足が着いたネ」
「………そーね」
俺と同じく背筋を伸ばしていたシャンプー。少し体を伸ばせば、その発育した体のラインが服の上からでも分かるから困りもの。俺は即座に視線を逸らした。こんな事で嫌われたくないからね。それを思うと船の上での一週間よくぞ耐えきったぞ俺。自分で自分を誉めたいわ。
しかし、まあ……どーすっかな。正直、原作を知ってる俺は天道道場や風林館高校の存在を知ってる。つまりは、その気になれば乱馬の居場所はすぐに判るのだ。
でも、それを俺が知ってるのは不自然だし、シャンプーに天道道場の事を教えれば何故それを知っていたかを疑われるだろう。まあ、原作でもシャンプーは自力で乱馬の居場所を突き止めていたから、何かしらの手掛かりはある筈。暫くはそれに付き合って……
「それ、本当カ?嘘、許さない」
「ああ、本当さ。確かにおさげの女とパンダを見たのさ」
俺が考え事をしていた間にシャンプーが港に居た船乗りに詰め寄ってる。会話から察するに早速手がかりを見付けたか。
「何処ネ、教えるヨロシ」
「教えてやってもいいが……そのかわり」
シャンプーの言葉に船乗りの男はスッと手を伸ばした。その先にはシャンプーの胸が。あ、ヤバい展開だわコレ。シャンプーもそれを察してか拳を握って殴る準備してるし。
「おっと、そのまま」
「え、どわぁっ!?」
「ムース!?」
俺は船乗りの男がシャンプーの胸に触れる前に、短刀を投擲して胸に触れそうになった男の手のギリギリの所に短刀を突き刺した。壁に突き刺さった短刀は男の前で揺れ、男は顔面蒼白となっていた。
「情報は感謝するが、その情報に対する対価が釣り合ってないな。シャンプーの胸はそんなに安くはないぞ」
「じょ、冗談だって、あ、はは……そうそう、おさげの女とパンダは何か喧嘩してて女の方が「風林町が~」なんて言ってたぜ。じゃ、俺は仕事があるから!」
俺が凄みを利かせると男はビビった様子で一、二歩退がる。そして情報を告げた後に走り去って行ってしまう。風林町か。そういや漫画やアニメじゃ東京都の練馬区って言ってたけど町の名前は出てなかったな。
「ムース、余計な事するな。あんなの私だけで対処できたネ。殴りそこなった」
「やっぱり、殴る気だったか。余計な手出しをしたのは謝るよ。でもシャンプーに下世話な事をしようとした奴を許す気は無かったんでな」
シャンプーが壁に刺さった短刀を引き抜いて投げ渡す。キャッチしたけど抜き身の短刀を投げ渡さないで欲しい。楽々受け取れるとしても怖いから。
それにしても……自分でもビックリする位に頭がカッとなった。俺って結構頭に血が上がりやすいのかも。原作のムースもこんな気持ちだったのかな。
「兎に角、手掛かりは見つかった。風林町に行くネ」
「まだ其処が何処か分からないから調べてから行こうな」
余計な手出しを怒ってるのか、シャンプーは俺から顔を背けながら歩き出そうとしていたが、俺はシャンプーの手を取って阻む。まずは住所を調べてバスか電車で行けるかを調べないとね。不満そうなシャンプーの手を離さないまま俺は本屋に行き、タ◯ンページを購入して住所を調べた。其処には天道道場や風林館高校の住所も載っていたが一先ず保留だな。シャンプーに話したら間違いなく即座に襲撃に行きそうだし。
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