ムースの日記④とリンス
△月◯日
ムースになってから八年が経過した。
最近、やっと村の中に電気が通る事になり、漸く文明の利器に触れる事が出来る。この閉鎖的な村が文明開化に触れる切っ掛けとなったのはシャンプーの妹のリンスの存在だろう。この頃、三歳となったリンスをちょっとした用事で都会へと連れていった族長コスメだが、その時のリンスが目をキラキラさせて都会の街並みを見るもんだから親バカ発動。少しでも良い暮らしをさせようと女傑族の村に電気を通し、家電を購入した。
決して初めて見るテレビじゃないにしても普段から電話程度の機器しかない村だ。暫くの間、族長の家に人が在中し続けた。
族長がリンスに甘い一方で厳しく育てられていたシャンプーは不満そうだった。頭を撫でて慰めたら、馬鹿にするなとレッグラリアートを食らった。
△月△日
シャンプーの妹リンスだが女傑族の女らしくない。性格は温厚で穏やか、そして優しいのだ。それと言うのも族長や親族が甘やかすからだろう。
因にそれには理由があり、リンスは生まれつき体が弱い。更に姉のシャンプーが居るから次期族長はシャンプーになるだろう。ならば妹はその補佐をさせる為に武術よりも勉強を……となったらしい。
その事に不満を抱くのは厳しい修行を課せられたシャンプーだったがリンスに『シャンプー姉様』と呼ばれて頬が緩んでいた。気持ちはわかる、可愛いもんね。
△月×日
リンスが可愛くて尊い。先日、婆さんとの修行でボロボロになったのだがリンスが心配そうに慣れない手付きで手当てしてくれた。あまりにも優しくて可愛いので頭を撫でたら、頬を染めて照れていた。マジで尊い。
なんて思ってたらシャンプーから踵落としを食らった。最近過激になってきてねーか?
△月◇日
リンスが勉強を教えて欲しいと言うので勉強を教えてる。元々一人っ子の俺でムースになってからも一人っ子。幼馴染みのシャンプーは居るが妹は居なかったので新鮮だ。三歳の子供に勉強を教えるのは大変だが必死に勉強しようとする姿勢に感心してしまう。
プライドが高く、ツンケンなシャンプーと優しくて穏和なリンス。本当に血が繋がってる姉妹なのだろうかと考えてしまう。そんな事を思ってリンスをジッと見ていたら顔を真っ赤にして俯いてしまった。この後、シャンプーに『このロリコン』と誤解を受けてブッ飛ばされた。
この後、平謝りをして誤解を解くのに三日も費やした。
△月◆日
誤解は解けたがシャンプーの機嫌が悪かったので久々に一日一緒に過ごして遊んだ。帰る頃にはシャンプーの機嫌もスッカリ良くなっていたので楽しんでもらえたなら此方も嬉しい。シャンプーを家まで送り届けたらリンスがシャンプーのお出迎えをしていた。本当に仲の良い姉妹である。
俺の帰り際に俺の耳元で「今後もシャンプー姉様をよろしくお願いします。ムース兄様」と囁かれた時は吐血しそうになった。リンスちゃん、マジで天使。
◆◇sideリンス◆◇
「ほぶぁ!?」
「ふん、ムースの馬鹿!」
シャンプー姉様のビンタがムース兄様の頬を捉えていました。ムース兄様は村のお姉さんの仕事を手伝っていただけのはずなのですが、また何やら誤解が起きた様です。
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/2
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク