初陣③
援護しなくちゃ、とヒカリを追おうとして――早速撃破ログに一人誰かが倒されたメッセージが流れた。
どうやら、ヒカリが青チームの貢献度一位のプレイヤーを倒したらしい。
「…………は?」
続いて二位と三位が倒れた。
ちょっと、待って、何が起こっている。
急いでヒカリの後を追うと、そこには相手キャストが撃ったワンポイントを全てソードで切り落とし、フォトンアーツの後隙を狙って一気に距離を詰めるヒカリの姿があった。
「よっこいしょー!」
アバター体の身体能力ではありえないほどの速度で剣を振るい、キャストを倒すヒカリ。
一体全体、どうなっているのか。
これが地球のケンドーブとやらの力だとでもいうのだろうか。
混乱するメロディルーナを他所に、ヒカリはどんどんキル数を稼いでいく。
今の一瞬で大分ポイント差が縮まった、残り三十秒、それだけあれば充分勝ちの目が出てくるほどに。
「ちょ、ちょっと何が起きてるノ!? ヒカリちゃんが急に連続キルしてるんだけド!」
ヒカリが一人で敵チームの殆どを倒してしまったことで暇になったのか、呆然としているメロディルーナにリリーパ師匠が駆けつけてきてそんな質問をしてきた。
しかし何が起きてるかなんて、答えられるわけが無い。
何故ならメロディルーナだって絶賛混乱中なのだから。
「よ、よく分からないんですけどケンドーブがどうたらって……ソードを持ったら、途端に……」
「ケンドーブ? 何そレ?」
「さ、さあ……?」
二人で首を傾げる。
前線ではヒカリが相手チーム六人を一人で相手して、次々とキルを取っている姿が見えている。
相手チームは阿鼻叫喚だ。
銃弾は切り落とされて、テクニックは剣圧で掻き消されて、近づこうものなら剣を振りかぶった瞬間に神速の斬撃で即座に落とされる。
まさに一騎当千、まさに無双。
「ヒカリちゃん、もしかしテ……」
ポツリと、リリーパ師匠がそんな意味深なことを呟いた。
あれだけ付いていたポイント差はあっという間に消えてなくなり、あっさりと赤チームは逆転を果たして、そして。
試合終了のアナウンスが、フィールドに鳴り響いた。
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