第2話
「ハァッ!!」
前方からの息に向かって大上段から槍を振り下ろす。
斬り裂くというより風圧でかき消したようになってしまった。
ちゃんと刃筋を立てねばと反省。
「フッ!!」
背後から飛んできた火球を振り向きざまに薙ぎ払う。
振るのが遅かったせいか剣圧(槍圧?)ではなく槍で直接ぶった切ってしまった。
駄目だな、もっと速さを意識しないと。
「セイッ!!」
一息つく暇もなく左からの息を逆袈裟に斬り上げる。
ふむ、今のはちょっと良かったかもしれない。
感触を忘れないうちに次だ次。
さて、今日も今日とて修行の日々である。
小島と呼ぶのも憚られる岩場の上に立ち、周囲に息や魔法を使えるモンスターを配置。流れ弾がいかないよう距離を取らせたあとはひたすら攻撃させている。時折魔法力が尽きたモンスターが交代しているが、こちらは休みなしで延々海鳴閃による迎撃を繰り返す。
こうして疲れるまで海鳴閃の練習をし、それが終われば地雷閃の練習をする毎日。おかげで最近では地雷閃、海鳴閃ともに少しづつ形になってきたように思う。虚空閃?光の闘気が使えるようになるまでお預けです。
そうして今日も日が沈むまで修行を続け、終わったあとは帰る前に一休みして体力を回復する。
「しかし、自分でモンスターを探し回っていたころと比べると修行効率が段違いだな」
その点はグラコスに感謝である。こうして海のモンスターに命令できなければ海鳴閃の練習とか早々できなかったはずだし。
ちなみに、モンスターたちは命令されてないときは普段通り過ごしている。こちらとしても修行に付き合ってもらう以外は特に用事もないので、人間を襲わないようにとだけ命令してあとは好きにさせている。
数年後の魔王襲来を見据えてモンスター同士で訓練させて最強の軍団を……と考えないでもなかったが、最悪、鍛えたやつらがそっくりそのままハドラーに奪われるかもしれないことに気づいて止めておいた。こちらの支配力がハドラーを上回っている保証もないし安全策を取るべきだろう。
「ただなぁ……技の修業はともかく、戦闘訓練の方はちょうどいい強さの相手がいないんだよなぁ……」
グラコス戦を経て成長した今となっては、もはや鍛えてもいないモンスターたちなどハンデを付けても相手にならない。
原作でダイたちがわずか数か月で大魔王を倒すほどに成長できたのはもちろん本人たちの素質もあるが、なによりひたすら強敵と戦い続けたのが大きいと思われる。
さすがにあそこまで死闘につぐ死闘をしたいとは思わないが、ここからさらに強くなるためにはやはり互いに高めあえる好敵手は必須だろう。
「その点クロコダインとかピッタリなんだけど」
同じパワー&タフネスタイプの戦士だから学べるところも多そうだし。
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