ハーメルン
セイントシンフォギアXD
4話 カルマノイズの秘密

特異災害対策機動部二課

 二課の本部に戻った奏の心は更に暗く沈んでいた。

奏「(…無様だ。無様すぎるだろ…。人のギアを盗んでおいて、制御すらできないなんて…!)」

 そこへ、翼が来た。

翼「…あの、奏…?」

奏「…何だよ?」

翼「もう、大丈夫なの?」

奏「…ああ、メディカルチェックの結果も異常はないってよ」

翼「そう…よかった」

奏「よかった…?何がよかったんだよ!あたしが人のギアを盗んでおきながら、ロクに使えなかったからか?それともそんな無様なあたしへの皮肉か?」

???「心配してるのにそんな言い方はねえだろ!?」

 翼の心配を悪意あるものだと解釈して受け取った奏の態度に通りかかった星矢達が口を挟んだ。

星矢「奏、翼は本気でお前の事を心配してるんだ!決してバカにしていない!」

奏「殴り合えば分かり合える単細胞の男共に言われたくねえんだよ!」

 逆ギレした奏はそのまま去って行った。

翼「奏…」

星矢「翼、いつもの防人節は」

紫龍「星矢、落ち着け」

アイザック「今は奏の頭を冷やす時間が必要だ。それより、今後の事を考えよう」

星矢「…わかったよ」

 奏の態度に星矢はもちろん、紫龍達でさえもやるせない気持ちだった。そんな場へマリアが来た。

マリア「翼、どうだったの?」

翼「ああ、少し話せた。身体は大丈夫そうだ」

響「よかったぁ…」

翼「…立花、すまなかった。奏の代わりに謝らせてくれ…」

響「そ、そんなっ!?翼さんに謝ってもらうような事じゃないです!ギアも戻ったし、気にしないでください!」

翼「ありがとう、立花…」

氷河「体はともかく、心の方は相当深刻なようだ。何しろ、力を欲したばかりに響のギアを纏えないというとんでもない現実を目の当たりにしたんだからな…」

 体よりも心の方が深刻だと星矢達は思っていたのであった。

マリア「(イグナイトの力を欲したい気持ちはわかる。でも、例えあのペンダントを制御できたとしても…今の天羽奏の心では、イグナイトの呪いには間違いなく耐えられない。彼女は力の求め方を間違っている。それに気づかない限り、前へは進めない)」

 一度暴走した経験があるからこそマリアは奏の心境が理解でき、その力を求める姿勢が間違いであるともわかっていた。

翼「立花、この後時間はあるか?」

響「はい、大丈夫ですけど…」

翼「一応、ギアの調子を確かめておいた方がいいだろう。私も付き合うから、手合わせをしないか?」

響「はい、もちろんやります!マリアさんもやりましょう!」

マリア「…いいわよ。それじゃあ、奏の事を見てて」

 奏の事は星矢達に任せ、響達は訓練に向かった。一方、奏の方は同じガングニールなのに響のギアを纏えなかった事をまだ引きずっていた。

奏「…あたしの適合係数じゃ、イグナイトどころかあいつのペンダントすらまともに使えない。いや、仮にあいつのペンダントが使えたとしても、今のあたしじゃ…。所詮あたしはまがい物ってわけか…」

 実際はマリア達FIS組の装者の適合係数も低いが、それは今の奏は知る由もなかった。

[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/9

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析