#13 初めての宝物殿と邂逅
宿をとったらすぐにナザリックに一時帰還するつもりが、アインズとフラミーが部屋に入り随分時間が経っていた。
あれ程までに心配していたアウラとマーレの事を一時的に頭から追い出し、二人は時間を忘れて昔を語り合った。
フラミーは飲食可能な為、食事に誘ってあげようかと一瞬思うアインズだったが、悲しいことに宿に泊まっただけで金がもうほとんどない。
「このスクリーンショットなんて傑作なんですよ!」
ペロロンチーノと源次郎がエントマを以て繰り広げられるぐじゃぐじゃ虫ックスについて妄想し熱く語らっているのを聞き咎めたぶくぶく茶釜が、わざわざジョーク課金アイテム「拷問前の捕虜」を手に入れ、拘束した二人をエントマの前に置き去りにしたものだ。
二人は笑顔のアイコンを表示させていて、「エントマの前……!むしろご褒美!!」と更に妄想を加速させたのだった。
スクリーンショットは<設定>の<アルバム>を押すとフォルダ分けされたものが見れていたが、この世界では物理的なフォルダーの中に、ごっそり紙焼きの写真が入っているという代物になっていた。
アインズはそれを一生の宝物にしようと決めた。
「なんでこの二人はこうなんでしょうね。特にペロロンチーノさんはご病気です!」
「本当ですよねぇ」
アインズの向かいのベッドではははと笑うフラミーは笑いすぎて浮かんでしまった涙を払ってから言葉を続けた。
「ねぇモモンさん。守護者や僕の皆で今度写真撮りたいですね!カメラがどうやって出来てるのか知りませんけど」
アインズはいい案だと思った。
アンデッドや悪魔は老いも寿命も存在しないが、それこそアウラやマーレのように今後の成長が楽しみな者達も大勢いるのだ。
何枚あっても足りないだろう。
「そうですね!そういうのが作れそうなアイテムや魔法に詳しいNPCを募りましょうか」
アインズは第十階層にある最古図書館で司書として働くティトゥスを思い浮かべた。
一方──
「あ、そっか!電気がないこの世界でもマジックアイテムとして作ればいいんですね!アインズさんが作ったパンドラズ・アクターなんて居場所的にアイテムに詳しそうですし、アインズさん自身も魔法に詳しいじゃないですか!二人で作れるんじゃないですか!」
電気がなくてもカメラが作れる事を知らないフラミーはアインズの魔法を用いようとする柔らかい頭に感心していた。
「えっパンドラズ・アクターは……」
「そう言えば、パンドラズ・アクターは宝物殿にいるんですか?カメラ、楽しみだなぁ!」
NPCを製作していないフラミーにアインズの痛みを想像することは無理だった。
楽しみ楽しみとわくわくしている様子にアインズは己の黒歴史に会いにいくことを決めた。
すっかり日が暮れてからナザリックに戻ると、二人は一番に宝物殿へ飛んだ。
「──え?わぁ……!」
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