ハーメルン
鬼滅の雨
雨だれ石を穿つ

「はああああああ!!」

刀が岩に弾かれる

岩を斬り始めて一ヶ月が経過した。

残り二ヶ月で、岩を斬らないと稽古を付けてもらえない。

なんとしても残り二ヶ月で岩を斬らないと!

もう一度刀を握りしめ、俺は岩に刀を振り下ろす。

























「ふん、馬鹿正直やってやがるな」

遠くから、仙治郎さんの孫のガキの様子を見て、俺は呟く。

そもそも刀で岩を斬るなんて無理な話。

ましてや“全集中の呼吸”も使えない奴だ。

呼吸もなしに岩を斬るなんて不可能だ。

鬼には、岩の様に固い首を持つ者もいる。

そんな鬼の頸を斬るのに必要なのは、“全集中の呼吸”だ。

体中の血の巡りと、心臓の鼓動を早くし、体温を上げる“全集中の呼吸”は、俺達鬼殺隊にとって、人の身で鬼と戦うための技だ。

まぁ、教えていないから使えなくても当然か。

「これで諦めてくれりゃ、いいんだがな」

酒を飲み、がむしゃらに剣を振るう奴を見る。

「三ヶ月経つまでの間に諦めてくれりゃよし、諦めなくても三ヶ月で岩が切れるわけもないから三ヶ月後には俺直々に引導を渡す。どっちにしろ、俺には都合がいい」

そう言い、屋敷の中へと戻る。

「出来ないと分かっていながらやらせるなんて、俺も随分と酷い奴だな。………………今の俺を見たら、お前はなんていうだろうな……カナエ」

いつも笑顔でいた、「鬼と仲良くなる」と鬼殺隊の中で異端すぎる理想論を語っていたアイツのことを、つい思い出してしまう。

振り払うように、頭を振り、酒を煽る。

「………しっかし、剣の扱いはうまいな。あれだけ振り下ろしていながら、剣が刃こぼれもしてない。それに折れる気配もない。仙治郎さんの話じゃ、剣術なんて教えてないってことだが……………才能ってやつか」

だが、いくら才能があろうと、俺は認めない。

才能だけじゃ、意味がないんだよ………………




























とうとう期限の三ヶ月が来た。

朝日が昇った時、俺は目を覚ました。

「これで最後か」

そう呟いて寝床から起き上がり、顔を洗う。

「おい、今日が約束の日だぞ。岩は切れたか?」

どうせ出来ていない。

そう思い、裏手へと向かう。

だが、そこで俺は驚いた。

何故なら、岩が切れていた。

そして、岩の前では肩で息をしながら、立っているアイツが居た。

「お前………岩を斬ったのか?」

「あ、師匠。はい、なんとか………」

疲れ切った笑みを浮かべながら、刀を鞘に納めようとすると、刀が手から落ちる。

見ると、刀の柄は血まみれだった。

そいつの掌は、血豆が潰れ、見るからに痛々しかった。

[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/2

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析