ハーメルン
鬼滅の雨
修行開始

「それじゃあ、今日から本格的な訓練をする」

そう言って、師匠は俺の前に立つ。

しかし、身なりは変わっている。

髪は手入れをし一つにまとめ、髭も剃り、甚平から鬼殺隊の黒い隊服を着て、その上から水色の羽織を着ている。

この格好なら、柱と言われても納得が行く。

「始める前に一つ言っておくことがある。お前は育手に修行させられるんじゃない。柱の直弟子として、修行することを忘れるな」

「師匠、育手って何ですか?」

「育手ってのは、文字通り、剣士を育てる者ことだ。あちこちに存在し、それぞれのやり方で剣士を育ててる。基本は引退した鬼殺隊士がやってる。中には元柱の人もやってるが、それは極稀だ。数多いる育手の中から元柱と出会えるのは難しい」

師匠が腕を組んでそう言う。

「じゃあ、師匠も最初は育手の人の所で修行したんですか?」

「いや、俺は最初から仙治郎さん、お前の祖父の継子として修行を積んでいた。話を戻すぞ。柱の直弟子と言うことは、柱の、あるいは次期柱候補と言っても過言じゃない。言うなれば、お前は、俺の後継者だ」

俺が柱の後継者……

そんな大役が務まるのか?

………いや、後の世を平和にするつもりなら、それぐらいの覚悟で行かないと!

「つまりだな。生半可な修行は出来ないってことだ」

そう言って、師匠は懐から何かを出す。

「師匠、それは?」

「懐中時計だ。長い間使っていなかったが、まだ使える。時計の読み方は分かるか?」

「はい、一応」

「なら、手始めに、向かいの山の頂上まで走って、ここに戻ってこい。12時までに戻らなかったら、刀の素振り千回だ」

「…………ええええええええええ!!?」



























向かいの山まで全力で走り、頂上に行き、そのまま折り返して屋敷まで戻ってくる。

必死に走ったが、残念ながら12時までに屋敷にはつかなかった。

「遅いぞ。本当に走ったのか?」

「は……走りましたよ……これでも……全速力で……!」

「ま、サボった所でお前に得はないからな。それじゃあ、次は刀の素振り!千回と言ったが、お前は岩を斬ることができるし、一万回に増やす」

「す、すぐにですか!?てか、一万って……!」

「鉄は熱い内に打て。体も温まって、これからが本番だろう。それに、素振りは基本中の基本。いくらやっても足りないぐらいだ。俺は昼餉の用意をしてくる。それが終わるまでの内に終わらせろ」

さっさと屋敷に戻っていく師匠を見つめ、俺は慌てて刀を手にする。

全力で刀を振り、素振り千回を終わらせようとする。

だが、百回を超えた辺りで腕が重くなり始め、持ち上げるのが辛くなった。

結局、昼餉前に素振り一万回は終わらなかった。

「昼が済んだら続きだ。急いで食え。一分以内にだ」

そう言って師匠はおにぎりを三つ渡してくる。

走り込みをして、さらに素振りを死ぬほどしたんだ。

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