ハーメルン
進化の光 フラスコの世界へ
第9話 復讐鬼 その2

第9話 復讐鬼 その2

戦況は徐々にだが、ハガネの優勢へと傾いていた。だがそれはゲッター3の存在が大きい、圧倒的な攻撃力、そして防御力を兼ね備え、加えて遠距離にも対応する。1機で戦況を引っくり返す、特機の開発コンセプトとしての役割を完全に果たしているゲッター3。だがコックピットの武蔵にはまるで余裕が無かった……

(なんだ、何が起こってやがる!)

アイドネウス島、伊豆基地では炉心のパワーが上がらず苦戦した。だが今回は炉心のパワーが上昇しすぎて武蔵は焦っていた。元々は宇宙開発用であるゲッターロボは荒廃した土地を改良する為に凄まじいパワーを有して開発された。だが途中で恐竜帝国の出現に伴い、宇宙開発から戦闘用に急遽改造されたと言う経歴を持つ。端的に言って、ゲッターロボはリオン等と戦うには強力すぎたのだ。

(ちいっ! てかげんしないと握り潰しちまうッ!)

リオンの装甲などゲッターからすれば紙くずにも等しい。だがそれは当然とも言える、ゲッターよりも巨大で強力な力を持つメカザウルスを相手に戦う為に改造されたのだ。そのパワーは凄まじい、だがその力の代償に早乙女博士は操縦者の安全を全て度外視する必要があった。ゲッターの操縦者探しで早乙女博士が苦戦していたのも、急遽戦闘用に改造した弊害とも言える。単独操縦で弱体化している、だが理由は判らないが炉心のパワーが急上昇している今。細心の注意を払わなければリオンをコックピットごと粉砕しかねない……武蔵は冷や汗を流しながら、慎重にゲッターを操っていた。ペダルの踏み込み、レバーの操作、機体を反転させる、そんな動きでさえ相手を殺めかねない可能性があったからだ。だが今回はそれが功を奏していたのは武蔵は知る良しも無い、ゆっくりと動くゲッターは威圧的でDCの兵士に途方も無いプレッシャーを与えていた。ゲッターに意識を向ければ、ヒュッケバインとゲシュペンストが襲ってくる、数の優位性は既に無く。DCは確実に追い詰められていた

「敵増援来ますッ!!!」

ハガネからの通信とほぼ同時に雲を引き裂き、ダークブルーのガーリオンが9体のリオンを引き連れて戦場へと現れた

「あのAMは伊豆基地にも現れた新型か……ッ!?」

ハガネのブリッジでその姿を確認したテツヤが忌々しそうに呟く、その姿は出撃準備をしている格納庫のモニターにも映し出されていた。シュッツバルトに乗り込もうとしていたライはその姿を見て一瞬エルザムかと思ったが、そのカラーリングはダークブルー。エルザムの乗る機体は黒一色に染め上げられている事が特徴である

(機体色が違う……だが並のパイロットでは無い)

エルザムでは無いが、エルザムに匹敵するエースパイロットだと判断し、ヘルメットを素早く被ると、コックピットに潜り込み機体を起動させる。ゲッターロボがいかに強大だとしても、数の暴力に押されればその動きは必然的に制限される。その中で各個撃破される可能性が高い、それはライだけではなくイングラムも感じ取っていた。

「オオミヤ博士、出撃準備が出来た物から随時出撃だ。急げッ!」

「判ってます! 後少し……後少しなんです」

必死の形相でキーボードを叩くロバート。原因不明のカタパルトの不調、リュウセイ達が外で戦っているのと同様。ハガネのクルーもまた必死の戦いを続けていた。

(……あれか)

一方テンペストは連邦軍に激しい憎悪を抱いていた。だが出撃前にエルムザムと話をし、そしてゲッターの脅威を知るからこそ激情せず冷静に戦況を見る事が出来ていた

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