第5話 決断の時
第5話 決断の時
飛行場にはイーグル号、ジャガー号、ベアー号の3機が並べられていた。今希望者によるイーグル、ジャガー号のパイロット適正試験を行ったのだが、結果は勿論散々な結果だった。武蔵は普段通りの剣道の胴、ヘルメットと姿と言うとてもパイロットとは思えない服装だが、けろっとしていた。だが今イーグル、ジャガーから下りた両名は酷い有様だった
「うげえ……げぼお……な、なんだよ……これ……パイロットを殺す気かよ……ありえねえ……」
リーダーは赤と言って乗り込んだテンザンはヘルメットを投げ捨て、蹲り戻し続け。ジャガーから下りたテンペストもまた青い顔で尻餅をつき
「……恐ろしいな。腕には自身があったが……飛ばす事すらままならんか」
今回は2人とも操縦桿を握らず、ベアー号の武蔵の遠隔操作で飛行していた。まずは速度に慣れなければ操縦所では無いと言う事でまずは速度に慣れようとの事だった。だが、テンザンは飛行してすぐゲッターの殺人的な加速にノックアウトされ、ベアーの通信装置で様子を見ていた武蔵の判断で着陸させられ、テンペストは操縦桿を握り締め必死にゲッターの加速に耐えていたが、それも数分の事で白目を向いて気絶した。飛ばすだけでこの有様では到底合体までは漕ぎ付けられないと判断し武蔵はジャガー号も着陸させ、それに続くようにベアー号も着陸させたのだ
「えーっと、まだ乗りたいって人います?」
武蔵の言葉にパイロットになりたいと返事を返すものは居なかった。性格は悪いがパイロットとしての腕前は一流のテンザンが今も戻し続け、連邦軍のエースでもあったテンペストが立つことも出来ないと言う姿を見て、立候補するパイロットは居なかった
「ふむ。では私が乗ろう」
「エルザムさん。イーグルでも、ジャガーでもお好きな方にどうぞ」
既にヘルメットを被っているエルザムを見て、武蔵も止める事はせず好きなマシンにどうぞと声を掛ける
「ではジャガー号にしよう。発進まで内部を見たいが良いか?」
「大丈夫ですよ。準備が出来たら声を掛けてください」
慣れた感じでベアーに乗り込む武蔵を見て、エルザムもジャガーに乗り込み計器などの確認をする。操縦桿に加速と減速をするペダルが2つ、そして上下左右から飛び出したレバーとモニターなんて物じゃない、ただ周囲を映し出すのみのスクリーン……ビアンから話を聞いていたエルザムは心の中で中身自身は旧世紀の骨董品かと呟く
『準備は良いですか?』
「ああ、構わない。発進してくれ」
『了解です、あ、勝手にあっちこっち触らないでくださいね。自動操縦が解除されると危ないんで』
操縦桿のモニターから心配そうに声を掛けて来る武蔵に判ったとエルザムが返事を返すとイーグル号から上空に飛び立っていく、まずはゆっくりと飛び出すと思っていたエルザムだったが、座席にめり込むような強烈な加速に思わず呻き声を上げる
(ぐっ、なんと言う加速だ)
ゲットマシンは構造上翼などを持ち合わせていない。だからバーニアとゲッター線による反重力で飛翔しているが、当然パイロットへの負担は度外視だ。新西暦のショックアブゾーバーに慣れているパイロットは間違いなく、飛び出したときの衝撃で気絶するとエルザムは確信した。だが1度飛翔し、スピードが安定してしまえば元々超高機動戦闘に特化しているエルザムはそのスピードに適応していた
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