ハーメルン
進化の光 フラスコの世界へ
第7話 ハガネ発進(後編)


第7話 ハガネ発進(後編)

アニメや漫画におけるロボットの定番と言えばまず「変形」そして「合体」だがそれはフィクションの世界だから出来る話なのである。まず人間が中に乗り込み操縦出来るようなサイズのロボットを例に挙げるが、それらの巨体を動かすには細かい電子制御や数多の細かい部品が胴体や四肢にこれでもかと詰め込まれている。そんな超がつく精密機器が機体を変形などすればどうなるか?それは極めて簡単な話で変形は=自殺行為と同意儀である。機体の変形により各部に掛かる負担、重力などの負担の変化はそれこそ自爆に等しいと言える。更に合体は機械同士が衝突すると言っても過言ではなく、合体時に接触面に掛かる負担。合体し全長が増えることで脚部に掛かる負担、部品の磨耗など例を挙げれば切りが無いほどのチェック項目や、1mmの誤差すらも許されない精密な操作、もしくはそれを補えるAIが必要になる。更に言えば小説やアニメではないのだから、無限動力なんていう都合の良いエネルギーは存在しない為エネルギーの問題と言うのが存在する。また仮に合体が可能だったとしよう、そうなると更なる問題が浮上する。先も話したがまずはエネルギーの問題。機体を動かす、武器を使うなどの動きによってエネルギーは常に減少し続ける。稼働時間が1時間しかないとすればそれは兵器として成立するだろうか?答えは否である。合体して1時間しか動かない欠陥品と、分離状態ならば5時間いや8時間稼動出来るとしよう。そうなればどちらが有効的か?などと考えるまでも無いつまり今の科学力では変形は可能であっても、合体は不可能。エネルギーや機体の消耗度などの問題に加え、合体する前提で作るよりも最初から1つの機体として作成するほうが現実的である。つまり優秀なロボット工学の権威が出した結論であったが、それは今目の前で覆されたのだ

「な、なんだあのロボットは……あんなのありえない」

ハガネの格納庫で外の状況を見ていた、SRX計画に携わる研究者「ロバート・H・オオミヤ」は目を大きく見開きそう呟いた。戦場に突如現れた飛行に適さないと一目で判る形状の戦闘機。それが目の前で重なっただけとも言えるが合体した。それはテスラ研で「グルンガスト」の開発に携わり、こうしてSRX計画にも呼ばれるほどに技術も知識もあるが故にありえない。優秀な頭脳を持つが故にありえないと否定し、だが目の前で起きている光景は紛れも無い現実で混乱しきって動けないロバートに向かって指示を求める

「オオミヤ博士! R-1の運搬はどうすれば良いですか!」

整備兵の叫びに我に返り、ハガネに運搬するPTなどの指揮を取る為に走り出すのだった

「艦長。あの特機はどうしますか、エルザム・V・ブランシュタインとの会話から脱走兵でしょうか?」

「……その判断は余りに軽率だ大尉。仮にあの特機がEOTI機関の物としよう。あのような姿の兵器が開発されたと言う話は聞かんし、なによりもあの会話は軍人と言うよりも民間人に近い。脱走兵と言うよりも独自で開発された機械をDCが押収しようとし、パイロットが持ち出したと考える方がつじつまが合う、それにあの特機はDCと敵対している。今はあの特機をどうにかするよりもハガネの発進準備を急げッ!」

敵か味方も判らない相手に警戒するよりも、今やるべき事を優先せよと叫ぶダイテツの言葉にテツヤは敬礼し行動に出る。それから数分後クルーからも、伊豆基地のオペレーターからも資材の搬入と人員乗り込みが完了したと言う報告が上がる

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