演目終幕 "殉国"
▲ 帝国 帝都ベルン 宰相官邸 中央広場
「ロフスキ殿。ご無事でなによりです」
「デグレチャフ少佐も」
事後処理を隷下部隊に任せ、その場を後にしたターニャは中央広場で現場の後処理の指揮を執っていたロフスキ少佐を見つけ、彼女の元へと向かい。お互い五体満足で再開できた事を讃え合う様に握手を交わす
「聞くまでもないのですが、戦果は十分に?」
「えぇ、血を見飽きる程には。しかし、年甲斐なく宰相官邸で派手にやり過ぎました。ゼートゥーア閣下に何と申し開きをすれば良いのやら」
ターニャは自分が肉片にした奴等の事を考えながら肩を竦めて見せ、ロフスキ少佐等が殺したであろう無惨な亡骸を一望しながら共通の上司を出しに軽口を言う
「ウフフ、閣下の事です。寧ろありのままお伝えした方がお喜びになるかもしれませんね」
「フフ。いやはやまったく、違いありません。勲章の1つでも推薦して頂けるやもしれませんな」
死屍累々と化した広場をざっと眺めながらのちょっとした談笑、プロだから許される談笑も早々に懸念していた事を切り出す
「西通用門もそうでしたが、やはり少年兵が幾ばくか居りますな。煩わしい事この上ません」
何という不条理か
労働人口の半数をラインの大地にぶち撒けた帝国において若者は貴重な人的資源だというのに
人的資源が間違った思想に染まり、無益に消費されていく勿体なさときたら……
「子供……まったく面倒な。家庭で何を教えているのやら」
戦闘の処理で壁際に並べられる死体をざっと見ればあまりに若すぎる遺体がちらほら
「帝国の教育水準も落ちたものです。先人達が見ればさぞ嘆き悲しむでしょうな」
「教育担当者はサーベルで斬られても文句は言えないわね」
はぁ、とターニャ・ロフスキがため息混じりに呆れていると
敵勢力の殲滅を終えたロベルト大尉がロフスキ・ターニャの所へと駆け寄ってくる
「ロフスキ少佐殿、デグレチャフ少佐殿」
「ロベルト。残敵掃討は?」
互いに敬礼を交わしながら首尾は?と尋ねればロベルト大尉は百点満点の回答を伝えてくる。信頼の置ける士官とは大変素晴らしい
「敵性戦力の掃討は完了致しました。捕虜も幾らか捕らえてあります」
「結構、大変に結構です。舞台を整えた甲斐がありました。後はオペラ座で捕虜を締め上げればいいでしょう。ご苦労様」
捕虜をオペラ座に引っ張っていく段取りはつけてある
死体の片付け辺りは国家憲兵にでも放れればいいのだが……
「はい。しかし、総じて少年兵が多く後始末が面倒になるかと」
「忌々しいことね。とまれ、それは局長と参謀本部の方々に任せましょ。きっと悪辣なあの手この手で収めるでしょうよ」
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