ハーメルン
売国戦記
戦友愛

 は
帝国 帝都ベルン 帝国参謀本部 


ゼートゥーア中将との会談を終えた
ロフスキ・ターニャの二人はシルサルスキ少尉の先導で用意された車へと向かう為に参謀本部の廊下を歩いている

前方からロフスキ・ターニャにとって馴染み深い人物が
眉間にシワを寄せ、疲れからなのか若干やつれ気味の顔を僅かに強張らせ、手元の書類に目線を落としながら歩いてくる

「……? ロフスキ少佐とデグレチャフ少佐ではないか。参謀本部(こちら)に来ていたのだな。襲撃事件(先の件)は聞いた。二人共無事で何よりだ」

ロフスキ・ターニャに気がついたレルゲン中佐は先程の強張った表情から一転し、張り詰めたモノが無くなった様な爽やかな表情に変わる

レルゲン中佐は再び再会出来た事を喜びつつ握手を、と手を伸ばし、対するロフスキ少佐も親愛を込めレルゲン中佐との握手を交す

「レルゲン中佐、貴方も無事で。また会えて嬉しいわ」

「御無沙汰しておりました。中佐殿とロフスキ殿はお知り合いであられたのですか?」

レルゲン・ロフスキの両者が旧知の中であったという話題を得たので世間話がてらに訪ねる事にしたのだが、言ってからターニャは少し不味ったかと後悔する

(万が一男女の関係であったのなら藪蛇(ヤブヘビ)だったか……?いや、言ってしまったから後の祭りではあるのだが、久方ぶりの知人に油断したのか……?)

自分の意外性と軽率な発言に苦慮するターニャだが、結果的には徒労に終わる事となる。ターニャと握手を交わしながらレルゲン中佐は特に気を悪くする様子もなく答えて下さる

「デグレチャフ少佐も久しいな。ふむ、そういういえば言っていなかったな。ロフスキ少佐《彼女》とは軍大学からの馴染みでな。早い話、同期生だ」

「そうね、私も言っていなかったわね。特に秘密(・・)という訳では無かったのだけれど」

ロフスキ少佐も意に介さる事もなく答えて下さったが、何とまぁ最後に含み(・・)を持たせてくるのはちょっとした意地悪だろうか?

「それは!軍大学の御学友でありましたか!なんだか此処で会ったのも偶然とは思えませんな!」

藪に蛇が待ち構えてると知っていて尚、藪に突っ込む趣味もないターニャは少々大げさに応えて話を切りに掛かる

自分で言っといてなんだが、まぁ帝国の中枢である参謀本部だ
そこにルーデルドルフ閣下に酷使されているレルゲン中佐殿が居られても、むしろ当然なのだが

「ははっ。案外、偶然では無いのかもしれんな……。して、今日は何故に参謀本部へ?」

ターニャの軽口にレルゲン中佐は分かってか冗談めかしつつ応え、冗談もそこそこにとレルゲン中佐は若い少尉に一瞬目を配りながら気になっていた事を同期生に訪ねる

[9]前書き [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/12

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析