第2話 ~俺、中学入学ッス。
喧嘩をしては透に心配される日々を送っていた俺と武文、無事に中学校へと入学出来ました。三人揃って岸中です、男女共学だったのですよ岸中は。ピカピカの一年生である俺と武文、二人揃ってここの頭に喧嘩を吹っ掛けました。武文はヤラれたけれど俺は勝利、俺が最強ってなわけですわ。
一年にして岸中の頭となった俺ですが、その後に罪悪感を持ったというか何というか。…………透に泣かれたんですよ、怪我はしなくともボロボロだったんで。武文に至っては傷だらけのボロ雑巾、それほどにここの頭が強かったわけです。まぁとにかく皆の前で泣かれたわけで、慰めるっつーか泣き止ませるのに苦労したッス。…で思ったんだけど、俺ってば透にとことんまで弱いみたい。
因みに暫くの間、女泣かせの悪評が岸中に広まりました。…俺ではなく武文に、…武文の奴は号泣ですよ。なおのことモテなくなったって、………合掌。
透に配慮しながらも岸中を仕切る俺、元頭の野間先輩達と共に他の中学を制覇しようと考えていた。仲間を集めて計画を練っていたんだけど、…頭の悪い武文がヤラかした。俺達の計画をポロリと透に漏らしたのだ! それを聞いた透が俺に言ったのさ。
「ねぇ…ユキ君、何でそういうことをするの? 喧嘩は男の子だから仕方がないと思うようにしたけれど、…他校の関係のない子達を巻き込むのは良くありませんよ? ………私は嫌だな、そんなことをするユキ君を見るのは。」
…って悲しそうな顔で言われたらさ、やる気がなくなるよね? 毒気が抜けるっつーかさ、自分達がどうしようもないボンクラだと思うぐらい。流石の俺も野間先輩達も制覇は取り止め、女の子に滅法弱いのが岸中の男共なのさ。
「…男の通る道なんだが、透が悲しむならやらねぇよ。…だからな? そんな顔すんなよ。」
透にきちんと伝えたよ、取り止めるって。そしたら…、
「…ん、…ありがとう。」
…って微笑んでくれたんだ。可愛いぜ、透!!
…で結局、俺達は中学制覇を諦めた。その代わりに武文の悪名が轟いた、岸中の天使と評される透を悲しませた悪漢と。
「…何でだよっ!!?」
と言う叫び声が周囲に響き渡ったとか。
一般の生徒に迷惑、被害が出ることを嫌う透、岸中に何かしようとする他校の噂を聞けば…、
「ユキ君、タケ君に先輩方。………大丈夫ですよね?」
と不安そうな顔で言われれば、
「岸中は俺達が守る。だから安心してくれ透っ!!」
「汚名挽回のチャンス! …やったるぜぇっ!!」
と気合を入れて守る為に喧嘩をします。岸中の天使の前に、俺達は守護神が如く戦うのです。
そしてあっという間に三年が経ち、岸中を卒業する俺達。俺と武文は野間先輩達がいる鈴蘭へ、透は名門任天堂女学院へ。更に武文の奴、男を磨く為と言って下宿するとか。…俺は下宿なんざせずに実家通い、…透と会う時間を減らすわけにはいかんのよ。まぁそんな感じの進路ですわ、寂しくもあるが楽しみでもある。
「私はもう何も言いませんけれど、ヤンチャのし過ぎはいけませんよ? …後、やるからには不敗を希望します。タケ君には無理だと思うけれど、…ユキ君なら成し遂げられると信じているから。」
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